トレイシー・ヒルズの気候・風土
トレイシー・ヒルズは2006年にAVAに認定されたアメリカ・カリフォルニア州でも比較的新しいワイン産地。ローダイAVAのすぐ近く、リバモア・バレー沿いのトレイシーという町を中心に広がっている。もともと農業の盛んな地域だったが、現在はサンフランシスコのベッドタウンとして人口を増やしている。
トレイシーの町を取り囲むようにオルタモント・ヒルがあり、サンフランシスコ湾からやってくる霧や風を遮っている。気候は降水量が少なく、風が吹くため、夏にも気温はそれほど上がらない。こういった条件からぶどうが病気になりにくく、収穫量を調整しやすいという利点がある。
海抜30~152m地帯にある川の堆積物によって形成された沖積平野にぶどう畑が広がっている。この地の土壌は、水はけのよい沖積土もしくは崩積土だ。
トレイシー・ヒルズのワインの特徴
ジンファンデル種を使用した赤ワインは、ボディは力強く、酸とタンニンが濃縮した味わい。果実やダークチョコレートの風味を味わえる。
“Zinfandel Grapes going through veraison” by Naotake Murayama – Flickr: Zinfandel Grapes. Licensed under CC BY 2.0 via Wikimedia Commons.
トレイシー・ヒルズでは1960年代に植えられたジンファンデルの樹もあるが、この地を代表するぶどうの種類はまだない。
他にはネーロ・ダーヴォラ、モンテプルチアーノ、サングランティーノなどのイタリア原産のぶどう品種が栽培されていて、シラー、カルベネ・ソーヴィニオン、シャルドネなどとブレンドされることがある。
エピソード
トレイシー・ヒルズのAVA認定に動いたのは、この地にあるチューリップ・ヒル・ワイナリー。AVAが認定された当初は、この地にぶどう園は5つしかなかった。
チューリップ・ヒル・ワイナリーは、家賃の高騰などを理由に2014年12月に閉鎖。それ以前からも、トレイシー・ヒルズのワインは、日本にはほとんど入ってきていない。