世界的に最も有名なワインの産地であるフランス。その国土のさまざまな場所で、各地方の気候や土壌を生かしたワインが造られ、より良いワインを作るための研究とたゆまぬ努力が続けられている。フランスワインの多様性とクオリティの高さが世界最高峰であることに異論の余地はない。

そのフランスの中で、シャンパーニュ地方といえば発泡ワインの名産地だ。シャンパーニュ地方は、フランスのワイン産地のうち最も北に位置し、平均気温は約10度と気候は冷涼。降雨や冷害、日照不足の影響を受けやすい土地と言える。土壌は石灰岩の混ざった泥土質で、水はけが良い。

このシャンパーニュ地方で造られるワインのうち、指定されたぶどうを使い指定された製法で醸造されたものしか「シャンパーニュ」を名乗ることができない。瓶内で2次発酵させるこの製法はきめの細かい泡を作り出し、まろやかで極上の発泡ワインが出来上がる。

【シャンパーニュ地区の主な生産地】

<モンターニュ・ド・ランス>
モンターニュ・ド・ランスは「ランスの山」という意味で、300mほどの低い山の裾野にぶどう畑が広がる。主にピノ・ノワールが栽培されるが、この地でシャンパーニュ地方全体の8割のぶどうが生産されている。
マムやパイパー・エドシック、ニコラ・フィアットなどが醸造されている。

<ヴァレ・ド・ラ・マルヌ>
マルヌ川の下流域にある渓谷にぶどう畑が広がる。土壌は白亜質と石灰質に分かれ、さまざまな地質が入り組む。
この地域は霜害を受けやすいため、丈夫なピノ・ムニエが多く栽培される。ボランジェ、アヤラ、ゴッセ、タルランなどの本拠地だ。

<コート・デ・ブラン>
シャンパーニュの中でも高級シャンパン「ブラン・ド・ブラン」の生産地として知られる。ブラン・ド・ブランとは、シャルドネのみを使用したシャンパーニュのことだ。
この地では石灰質の土壌が広がり、ミネラル豊かなシャルドネが多く収穫できる。デュラモットなどが醸造される。

<コート・デ・セザンヌ>
シャンパーニュ地方の中では温暖な気候で、シャルドネが多く栽培されるほか、ピノ・ノワールも栽培されている。石灰質と粘土質がメインの土壌で、ミネラル豊富で果実味あふれるぶどうを収穫することができる。
アンフロレッサンスやグロンニエなどが醸造されている。

<バール・セカネ>
シャンパーニュ地方コート・デ・バール最大の生産地だ。他の産地に比べ知名度が低いこともあり、手頃な値段で品質の良いシャンパーニュを作っている。
ドラピエやナタリー・ファルメ、クリスチャン・エティエンヌなどの作り手がシャンパーニュを醸造している。

<バール・シュール・オーボワ>
シャンパーニュ地方コート・デ・バールの産地のひとつであり、上記バール・セカネと隣接する。古城の多い風光明媚な場所で、小さな規模の生産者たちがシャンパーニュを作っている。