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シャトーヌフ・デュ・パプはローヌ地方のAOCだ。AOC制度誕生の地であると同時に、ローヌ南部において高名なAOCで、数々の有名ワインを生み出す地でもある。
ワインをテーマにした人気漫画「神の雫」において、主人公が追い求める特別なワインの1つとして、シャトーヌフ・デュ・パプのワインが登場したこともある。
ワインの歴史と背景
名前はフランス語で「教皇の新館」という意味。14世紀、法王庁が南にあるアヴィニョンに移された後、教皇ヨハネス22世がこの地に館を構えた。そして、他地区から技術者を呼び、ぶどう畑を発展させたことが由来とされる。
シャトーヌフ・デュ・パプのぶどう品種
主要なぶどう品種
つくられるワインの9割以上が、グルナッシュ種をメインとする赤ワインとなる。
赤、白ワインを合わせると、用いられるぶどうの品種は13種となる。
赤ワインの使用品種はグルナッシュ種をメインとし、ムールヴェードル種、サンソー種、シラー種、ミュスカルダン種、ヴァカレーズ種、テレ・ノワール種、クノワーズ種の8種。白ワインはグルナッシュ・ブラン種、クレレット種、ブールブラン種、ルーサンヌ種、ピクプール種、ピカルダン種の計6種だ。フランスワインの混醸によく用いられるカリニャン種やマルサンヌ種、ヴィオニエ種は、このAOCでは使用が認められていない。
ぶどう栽培の条件とテロワール
シャトーヌフ・デュ・パプの気候・風土は、土壌は丸石土壌に覆われた赤い粘土土壌が特徴的。丸石は古代ローヌ河からゴロゴロと運ばれてきたものだ。丸石が日中の太陽熱を蓄えることで高い保温効果を持ち、ぶどうの熟成に重要な役割を果たす。さらに、水はけも良く、通気性にも富んでいる。また、粘土質石灰岩、砂質、赤い砂岩の地域も見られ、シャトーヌフ・デュ・パプならではのテロワールの要素となっている。
地中海性気候に属し、一年を通じて気温が高く、乾燥している。
つくられるワインの味わいと香り
味わいの特徴
コート・デュ・ローヌのワインと比べると、より果実味の引き立った味わいとなる。甘みと酸味がほどよいバランスをキープし、グルナッシュ種による赤い果実を思わせるアロマも際立つ。
醸蔵された年により風味も違ってくる点も魅力のひとつ。
香りのプロフィール
シャトー・ヌフ・デュ・パプは、熟成に伴ってダスティなハーブやレザーのニュアンスが加わった香りが特徴だ。ラベンダーやローズマリー、地域のサージを感じられ、フランス語で「ガリーク」と呼ばれるハーブの香りも感じられる。フィニッシュはストロベリーの余韻となる。
シャトーヌフ・デュ・パプワインの選び方
こちらでは、シャトーヌフ・デュ・パプの選び方と、おすすめ商品を4点紹介していく。ぜひ、あなたにぴったりのワインを見つけてほしい。
選び方のポイント~9割以上は赤ワイン、希少な白にも注目
シャトー・ヌフ・デュ・パプのワインは、9割以上が赤だ。複雑な味が楽しめ、鶏肉や白身魚ともよく合うため、料理と一緒に楽しみたい方にぴったりだ。
また、赤ワインのみならず、シャトーヌフ・デュ・パプには希少なブラン(白)にもぜひ注目してほしい。ブランは地域で栽培されている、白ぶどうをブレンドしてつくられている。品種の構成は、グルナッシュ・ブラン・ルーサンヌ・クレレットなど。白ワイン好きならぜひ一度手に取って楽しんでみてほしい。
おすすめのワイン
こちらでは、シャトーヌフ・デュ・パプのおすすめワインを4つご紹介していく。ぜひ、参考にしてほしい。
おすすめワイン①:シャトーヌフ・デュ・パプ クロ・デ・パプ・ブラン
こちらのブランは、シャトーヌフ・デュ・パプで、最高峰のつくり手である「クロ・デ・パプ」。
飲み頃を3回持つこちらのワインは、豊潤な果実味としなやかな酸味が広がる、クリーミーでまろやかな味わいが特徴だ。
飲み頃の1回目は、ボトリングして2年後までのリリース期。この時期はフルーティーでいきいきした印象で、ワインを注いだグラスからは、グレープフルーツや白桃、マンゴーの白い花や果実のアロマがあふれてくるようだ。レモンピールや、はちみつ、ブリオッシュなどのニュアンスも合わさる印象となる。
2回目の飲み頃は、2年後以降に一度閉じて7~8年後に再度迎える。この時期になるとフレッシュな風味は落ち着いて、ミネラル感とアニスや洋ナシのコンポートのようなトロミが増した味わいになる。
3回目の飲み頃は、その先にある。10年、20年と熟成していくと、まるでプルゴーニュを熟成させたような味わいになるという。日本食、特に寿司とは相性が良いそうだ。ブルゴーニュのコート・ド・ボーヌ、それもモンラッシェやムルソーが好きな方には、おすすめだ。
■商品情報
タイプ:白ワイン
生産者:CLOS DES PAPES(PAUL AVRIL)クロ・デ・パプ(ポール・アヴリル)
生産地:フランス ローヌ 南ローヌ
品種:グルナッシュ・ブラン、ルーサンヌ、クレレット、ブールブラン、ピクプール、ピカルダン
容量:750ml
原産地呼称:AOC. シャトーヌフ・デュ・パプ
URL:https://www.enoteca.co.jp/item/detail/308650032
おすすめワイン②:シャトーヌフ・デュ・パプ オムニア
華やかなアロマとピュアな果実味の味わいが印象的な、シャトーヌフ・デュ・パプ オムニア。ブルゴーニュのテロワールを知り尽くす鬼才ルシアン・ル・モワンヌが、ローヌに設立したワイナリーによる赤ワインだ。
オムニアとは、ラテン語で「全て」という意味で、この1本にシャトーヌフ・デュ・パプの全てをつぎ込んだような、完璧な出来栄えが名前の由来になる。
味わいは、しなやかなタンニンと、果実からもたらされる滑らかな酸味が特徴。熟したラズベリーや、チェリー、ブルーベリー、ブラックベリーやシナモン、クローブなどのスパイスとハーブのニュアンスがグラスからあふれ出るようだ。
ワインをいただく際の注意点として、こちらのキュヴェは1時間前のデキャンタージュがおすすめとのこと。発酵時に蓄えられた二酸化炭素を防腐剤として使用しているため、飲む際にその二酸化炭素を逃がしてあげることが必要となるからだ。
■商品情報
タイプ:赤ワイン
生産者:ROTEM&MOUNIR SAOUMA(LUCIEN LE MOINE)ロテム&ムニール・サウマ(ルシアン・ル・モワンヌ)
生産地:フランス ローヌ 南ローヌ
品種:グルナッシュ、シラー、ムールヴェードル
容量:750ml
原産地呼称:AOC. シャトーヌフ・デュ・パプ
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おすすめワイン③:シャトーヌフ・デュ・パプ オマージュ・ア・ジャック・ペラン
シャトーヌフ・デュ・パプの生産者として、最高評価を受けているシャトー・ド・ボーカステルがつくる逸品。こちらのワインは、優良ヴィンテージにのみつくられる特別なキュヴェだ。
味わいは、実に奥深く複雑でリッチ。香りは、ブラックベリーやブルーベリーの香りに甘草やタイム、ローズマリー、燻製した鴨肉など。血肉を思わせるような、厚みのあるパワーを感じられ、さらに果実味の凝縮された層が幾重にも重なる。
■商品情報
タイプ:赤ワイン
生産者:CHATEAU DE BEAUCASTELシャトー・ド・ボーカステル
生産地:フランス ローヌ 南ローヌ
容量:750ml
原産地呼称:AOC. シャトーヌフ・デュ・パプ
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おすすめワイン④:コート・デュ・ローヌ・ルージュ 2018(ギガル)
コート・ロティに君臨する北部ローヌの名手である生産者、ギガル。そのギガルのワインの品質の高さを実感できる一本だ。
コート・デュ・ローヌ・ルージュは、価格が手頃な上、料理も和食から洋食まで幅広く合う点も魅力だ。コート・デュ・ローヌ・ルージュの味わいは、凝縮した味わいながらもタンニンはこなれている。
香りは、チェリーや黒スグリのような、黒系果実のアロマにハーブやスパイスのニュアンスが合わさっている。
ぶりの照り焼きやウナギの蒲焼きなどの魚料理や、ハンバーグやすき焼きなどの肉料理にも合う、オールマイティーなワインだ。
■商品紹介
タイプ:赤ワイン
生産者:E.GUIGALギガル
生産地:フランス ローヌ
品種:シラー、グルナッシュ、ムールヴェードル
容量:750ml
おすすめの料理:ブリの照り焼き、鰻の蒲焼き、ハンバーグ、すき焼き
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