ウンブリア州は、イタリア中部、アペニン山脈の西側に位置する。イタリアでは唯一、海に面していない州となる。

州都はペルージャ。紀元前に古代エトルリア人が居住していた地域で、ワイン作りはその頃から既に行われていたという。アッシジは、フランシスコ会の創設者聖フランチェスコの出身地として知られ、世界遺産に登録されている聖堂や修道院がある。

ウンブリアのD.O.C.G.は2つ。1つは、トルジャーノD.O.C.からリゼルヴァのみが昇格したトルジャーノ・ロッソ・リゼルヴァ。もう1つは固有品種によるワイン、サグランティーノ・ディ・モンテファルコ。
その他、オルヴィエートD.O.C.や、広域指定D.O.C.としてのトルジャーノ、コルバーラ湖やトラジメーノ湖など、湖沼の近くにもD.O.C.がある。

赤ワインはサンジョヴェーゼ種を中心としたものが多く、鶏肉や豚肉などの肉料理によくマッチする。また、オルヴィエートの白ワインも有名。原料はトレッビアーノ・トスカーノ種を主とする。

【ウンブリア地区の生産地区分】

<トルジャーノ・ロッソ・リゼルヴァ>
1991年にD.O.C.トレジャーノからリゼルヴァのみが昇格。
サンジョヴェーゼ種をメインとし、カナイオーロ種などを混醸に用いる。
ウンブリアワインの発展に多大な貢献を果たした、ルンガロッティが有名ワイナリー。

<サグランティーノ・ディ・モンテファルコ>
アペニン山脈の西側に広がる標高500m前後の丘陵地帯。固有品種サグランティーノのみによる赤ワインの生産地で、ぶどうは古くからの伝統にのっとり栽培される。かつてはパッシート(陰干し)による甘口のみだったが、近年辛口ワインもD.O.C.G.として認められた。

<オルヴィエート>
オルヴィエート地区の7村。土壌は凝灰岩。トレッビアーノ・トスカーノ種を主原料とする白がメイン。この地ではプロカニコというシノニム(別名)で呼ばれる。イタリアでは珍しく、貴腐ワイン(ムッファーティ)もつくられる。

<コッリ・デル・トラジメーノ&トラジメーノ>
トラジメーノ湖周辺の広域。サンジョヴェーゼ種やガメイ種による赤、トレッビアーノ・トスカーノ種による白。早飲みタイプがメイン。

<ラーゴ・ディ・コルバーラ>
トーディとオルヴィエートの間に位置するコルバーラ湖北部。赤ワインのみのD.O.C.。カベルネ・ソーヴィニヨン種、サンジョヴェーゼ種を主な原料とした早飲みタイプが多い。