スペインは、フランスやイタリアに次ぐヨーロッパのワイン生産国。テンプラニーリョ種を使う赤ワインやヴェルデホ種を使う白ワインが有名だが、それ以外にも国中のさまざまな地域で地ぶどうなどを使ったワインが数多く生産される。また、へレスで生産される酒精強化ワインのシェリー、カタルーニャ地方の発泡ワインであるカヴァも有名だ。

アラゴン地方はスペイン北部の歴史的な街であるサラゴサ近辺に位置し、エブロ川のほとりに生産地が点在する。ソモンターノ、カラタユ、カンポ・デ・ボルハ、カリニェナなどの産地を有する。ピレネーの山麓を使ってぶどうが栽培され、高度は200~1000mまでさまざまだ。

この地では協同組合としてのワインづくりが盛んで、グルナッシュをメインにした赤ワインを多く生産している。他にはカリニャンやテンプラニーリョも使われる。アラゴンの生産地の中では、ソモンターノが急激に知名度を上げている。

【アラゴンの主な生産地】

<ソモンターノ>
ソモンターノは山麓との意味で、ピレネー山脈の麓に位置する。畑はバルバストロの町付近に集中しており、海抜650mという比較的高い土地だ。
ソモンターノでは国際市場を意識した新しいスタイルのワインの開発が盛んで、スペインでよく使われるテンプラニーリョやグルナッシュのみではなく、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、シャルドネなど数多くの品種が栽培されている。

<カラタユ>
カラタユはサラゴサ県の南部に位置し、ぶどう畑は山脈シエラ・デ・ラ・ビルヘンの斜面に広がっている。
赤・白・ロゼワインの全てが作られているが、赤ワインの生産がほとんどを占める。白やロゼは早飲みタイプだが、赤は早飲みタイプから熟成タイプまで幅広いバラエティがある。

<カンポ・デ・ボルハ>
カンポ・デ・ボルハはエブロ川の南側で、北にDOナバーラという位置関係だ。平均30年以上という樹齢の高いグルナッシュが多く健在しており、それらを生かし品質の安定したワインの生産が可能となっている。
この地はグルナッシュ(ガルナッチャ)の原産地として知られ、歴史のある生産地だ。

<カリニェナ>
カリニェナは、サラゴサから南西に50キロほど、ウェルバ川に面した場所にある。ぶどう畑は、平地からシエラ・デ・ラ・ビルヘンと呼ばれる山麓まで広がる。
赤・白・ロゼが作られており、赤ワインはグルナッシュをメインにカリニャンやテンプラニーリョをブレンドする。その名のとおり、カリニャン(スペイン語でカリニェナ)の原産地だ。