オーストラリア

オーストラリアワインの特徴とは

   

オーストラリアチリと共にニューワールド・ワイン界を牽引するワイン生産国。世界第6位の生産量を誇る。シラーズの赤やシャルドネセミヨンの白が有名で、非常に良質なワインを産出する。

特に南オーストラリア州での生産が盛んで、同地ではオーストラリア全体の約半数のワインを生み出している。その多くは輸出されており、南オーストラリア州のワイン輸出量はオーストラリアの輸出量の20〜30%に及んでいる。

オーストラリアワインの特徴

オーストラリアにおけるワイン産業は、雇用・輸出・観光などの面で経済に重要な貢献をしている。世界のワインマーケットの中でも、その生産量と質の両方において重要な役割を果たしてもいる。主要な国際品種をはじめ約130種類以上の葡萄が栽培されているが、シラーズを使ったフルボディ赤ワインは高品質で特に有名である。

また、いわゆる「ニューワールド・ワイン」の先駆け的な存在として、オーストラリアではさまざまな研究と実験がなされてきた。世界中のワイン産地がオーストラリアの先進的な取り組みの恩恵を受け、ワイン醸造技術の向上、あるいはブドウ畑の管理方法といった面でオーストラリアの影響を受けるようになった。

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おすすめのオーストラリアワイン

グランジ
世界中にコレクターがいるオーストラリア最高峰の赤ワイン。「様々な畑や地域からぶどうを寄せ集めてブレンドし、最上のワインをつくる」という独自の哲学の下、オーストラリア全土でその年に採れたシラーズの中から最上のものを中心にブレンドしてつくられている。創業1844年の老舗ペンフォールズのフラッグシップワインであり、歴史的文化遺産としても認定されている。

ヒル・オブ・グレース
オーストラリア最高峰のシラーズがヒル・オブ・グレースだ。単一畑で育つ単一品種の高品質スティルワインで、「神の恵みの丘」と呼ばれる教会の側の畑にある樹齢130〜150年の古樹から収穫したシラーズのみを使用してつくられている。

レ・ザミ
ローヌの神様シャトー・ラヤスと例えられるグルナッシュ100%の赤ワイン。樹齢100年以上の古樹から収穫したグルナッシュを18ヵ月新樽で熟成させている。創業1994年の若きワイナリー、トレブレックの傑作だ。

オーストラリアワインの主なぶどう品種

最も代表的なブドウの品種はシラーズ(シラー)である。また、南ローヌスタイルのブレンド赤、リースリングに代表される果実味豊かな白、ハイ・クオリティなシャルドネが有名だ。

シラーズ
フランスのローヌ地方を原産地とし、一般的にはシラーの名称で親しまれるぶどう品種。オーストラリアではシラーズと呼ばれ、オーストラリアで栽培されるぶどうの中で、最も多く栽培されている。

シラーといえば、スパイシーな香り成分であるロタンドンが有名だ。しかし、冷涼なローヌ地方で育ったシラーと違って、温暖なオーストラリアで育ったシラーズはロタンドンをあまり含んでいない。そのため、シラーズの方が味わいはまろやかだ。

シャルドネ
白ワインの女王と呼ばれるシャルドネ。フランスのブルゴーニュ地方原産だが、1920年代にオーストラリアに持ち込まれた。今やオーストラリア全7州のうち6州でつくられていて、オーストラリアにおける白ブドウの栽培面積の半分を占めている。

セミヨン
シドニーの北に位置するハンター・バレーで栽培されており、ハンター・セミヨンと称されている。セミヨンといえば、フランスのボルドー甘口ワイン、グラーブ地区のブレンドワイン、ソーテルヌの貴腐ワインあたりが有名。だが、ハンター・セミヨンからはセミヨン100%の辛口ワインがつくられ、趣を異にしている。

カベルネ・ソーヴィニヨン
が高くタンニンが多い黒ぶどう品種。オーストラリアではシラーズに次いで2番目の生産量を誇る。オーストラリアではシラーズとブレンドされることもある。

オーストラリアではこれらの国際品種のほかにも、テンプラニーリョネッビオーロ、ヴェルメンティーノやグリューナー・ヴェルトリーナーなど、オーストラリア全体のブドウ産出量の1%に満たない生産量のオルタナティブ品種も栽培されている。

リースリング
ドイツからの入植者によって19世紀前半に栽培が始まった。南オーストラリア州にあるクレア・ヴァレーやイーデン・ヴァレーが産地として有名。酸味が本場ドイツのリースリングに比べて穏やかだ。

ぶどうを育てる気候・風土

大陸北部はその大部分が、ぶどうを育てるには暑すぎるし乾燥しすぎている。ぶどう産地の多くは比較的冷涼な大陸南部の沿岸に位置し、特に南西部と南東部が気象条件や土壌共にワイン造りに適している。生産地域が広範囲なため、収穫量や品質は例年安定している。

ぶどうの収穫期は北半球のヨーロッパより約6カ月くらい早く、3月から4月。オーストラリアワインの特徴は、醸造してから長い年月をかけて熟成させなくともフレッシュな段階から飲めるところ。初夏にはオーストラリアンサマーヌーヴォーが出荷されて観光客を集めている。

Jacob's Creek. Vines. Barossa Valley SA

オーストラリアワインの歴史

オーストラリアのワイン造りの歴史は200年余とまだ浅いが、現在は世界でも有数のワイン生産国である。2012年時点の海外輸出量は金額においては世界4位、総量においては世界5位である。生産量はヨーロッパ三大大国、アメリカ中国に続く世界6位、国内のワイン消費量は世界10位である。

オーストラリアにぶどうの樹が初めて持ち込まれたのは1788年のこと。場所はニュー・サウス・ウェールズ州にあるシドニーで、英国海軍のアーサー・フィリップ大佐の主導の下で植えられた。こうしてオーストラリアワイン発祥の地となったシドニーは、今ではオーストラリアワイン全体の30%強を生産している。

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ワイン造りが始まったのはイギリス人入植者が到着した後の1820年代。オーストラリアのワイン用ぶどう栽培の父とされるジェームズ・バズビーが1825年に本格的なぶどう園をハンター・バレーに開設したのに端を発し、ヨーロッパからの自由移民がブドウの栽培に成功したことからワイン造りが盛んになった。

1840年代後半には、宗教的な迫害を受けたドイツからの移民が南オーストラリア州に移り住み、そこでも盛んにワインが生産されるようになった。そのため、南オーストラリア州にあるクレア・ヴァレーやイーデン・ヴァレーは、リースリングの有名な産地となっている。

1870年代後半に入ってからは、ヴィクトリア州でフィロキセラが発見されたため、南オーストリア州がワインづくりの中心地となっていった。この時代に植えられた樹齢100年を超える樹が、南オーストリア州には今でも多数植えられている。

1892年にはオーストラリア発のワイン醸造専門学校となるローズワーシー・カレッジが設立されている。

やがてイギリスにワインを輸出するまでになるが、イギリスに輸出を始めた当時オーストラリアでは甘口の酒精強化ワインが主に生産されていた。しかし、第二次世界大戦以降は序々にスティルワインの方が盛んになり、現在では全体の90%を占める。近年では、最新技術の導入などにより世界でも指折りの高級ワインも生産されている。

Grange 2004 - Penfolds

オーストラリアワインの格付け

フランスのAOCイタリアDOCGのような基準の厳しい格付け制度はオーストラリアにはない。しかし、GIという地理的呼称制度であれば、オーストラリアにも存在する。

そのワインの格付けは、アメリカにならって、3つに大別されている。上から順に、ヴァラエタルワイン、ヴァラエタル・ブレンドワイン、ジェネリックワインとなる。

ヴァラエタルワインはラベルにブドウ品種を表示したワインで、使用するブドウ品種の割合、生産地や収穫年の表示なども定められている。

ヴァラエタル・ブレンドワインでは、ブレンドした割合の多いブドウ品種から表示される。

ジェネリックワインは、タイプ名としてヨーロッパの有名ワイン産地を記したもので、品種にこだわりはない日常消費用のテーブルワインである。

Jacobs Creek

オーストラリアワインの主な産地

オーストラリアの主なブドウ栽培地域は、南オーストラリア、ヴィクトリア、ニュー・サウス・ウェールズの3つの州で、その他に西オーストラリア、クイーンズランド、タスマニアなどの重要な産地を有する。以下にその特徴を紹介しよう。

ニュー・サウス・ウェールズ
南オーストラリアに比べると生産量は少ないが、白ワインの名産地ハンター・バレーを擁する重要な州。このハンター・バレーでは、辛口のセミヨン白が有名だ。州内ではその他、シャルドネ、シラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ヴィオニエなどが作られる。

ノーザン・テリトリー
赤道寄りのため暑い気候のノーザン・テリトリーは、ぶどうの栽培にはあまり適していないと言われるが、その中でもアリス・スプリングス周辺を中心にシラーズやカベルネ・ソーヴィニヨンが栽培されている。

クイーンズランド
オーストラリアの重要な州であるクイーンズランドでは、シラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨン、グルナッシュなどを用いた赤ワイン、シャルドネやセミヨンを用いた白ワインが醸造される。主な産地はグラニット・ベルト、サウス・バーネットなどだ。

南オーストラリア
オーストラリア国内の主要なワイン産地であり、全産出量のほぼ半分を占める。シラーズを使用した赤ワインが特に有名であり、白ワインはリースリングが傑出している。主な産地はバロッサ・ヴァレー、エデン・ヴァレー、クレア・ヴァレーなどだ。世界で最も古いシラーズのぶどうの樹が存在する。

タスマニア
タスマニア島では、その起伏に富んだ地形と海風による冷涼な気候を利用したワイン作りが行われている。メインとなるぶどうはピノ・ノワールとシャルドネであり、スパークリング・ワインの生産量も多い。

ヴィクトリア
国内では小さな州であるが、ワイン産地としては重要なヴィクトリア州は、ワイン生産量ランクで3位につけている。海風の影響によりピノ・ノワールやシャルドネがメインに作られる一方、シラーズも多く栽培される。ヤラ・ヴァレーやモーニントン・ペニンシュラが有名な産地で、スパークリング・ワインやデザートワインなど多彩なワインが産出される。

西オーストラリア
オーストラリア国内で最も広大な面積を有する西オーストラリア州だが、ワイン産地は州内の南西の一部に固まっている。ボルドーに似た気候を生かし、カベルネ・ソーヴィニヨン、ボルドー、シラーズなどが栽培される。マーガレット・リバーが最も有名な産地だ

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