セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ミュスカデルなどを使った白ワインの産地として有名。
プルミエール・コート・ド・ボルドー(Premieres Cotes de Bordeaux)は2009年以降、AOCコート・ド・ボルドーとして、再編成された。ただし、プルミエール・コート・ド・ボルドーの白ワインのように、特筆すべき個性のあるワインについては、旧名称のアペラシオンが残っている。
気候・風土
ボルドー地方のワイン産地で、アントル・ドゥー・メール地域の南部、ガロンヌ川右岸に位置する。
典型的なボルドーブレンドの白ワイン、および甘口白ワインに適用されるAOCである。1937年にAOC指定された。2009年まで同AOCにて赤ワインも生産されていたが、現在はAOC編成が再構成され、コート・ド・ボルドーのAOCに振り分けられている。
このAOCは、ガロンヌ川の左岸に位置するグラーヴ地域と川を挟んで向かい合いながら、ボルドー市の対岸付近からランゴン市までの南北約60km、幅5 kmに細長く伸びた地帯で、30以上の村が指定地域にあたり、各村名をラベルに追加することが許可されている。また、このAOC地区には甘口白ワインで有名なAOCカディヤックが含まれている。
ガロンヌ川の近くでは、白亜質の粘土土壌であるが、川から遠ざかるにつれ土壌は変化をしていく。
ワインの特徴
白ワイン用ぶどうの栽培品種はセミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ミュスカデルである。ボルドーの白ワインの代表的産地であるアントル・デュ・メールとほぼ同じ構成だが、このプルミエール・コート・ド・ボルドー自体のワイン品質の高さゆえ、独立したAOCとなっている。ハーブや柑橘の香りが特徴的な、フレッシュで飲みやすいドライな味わいだ。
また、このAOCの南部には、AOCカディヤック、AOCルピアック、AOCサント・クロワ・デュ・モントの3つの独立するAOCがあり、良質な甘口白ワイン(モワルー)が造られている。
この地区は甘口白ワインで有名なバルザック・ソーテルヌ地区とガロンヌ川を挟んで対面しており、彼地と同様に貴腐ブドウから甘口白ワインが造られている。使用品種もバルザック・ソーテルヌ地区と同様にセミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ミュスカデルだが、ソーテルヌのものに比べると軽くフレッシュな口当たりで、ハチミツやアカシア、柑橘類、アンズのアロマがある。
飲み頃は5年から10年でが、その中ではカディヤックのものはやや若く飲むのに適している。なお、これら3つの独立したAOCの中ではAOCサント・クロワ・デュ・モントがもっとも良質とされる。
エピソード
もともとAOCプルミエール・コート・ド・ボルドーとして分類されていた赤ワインは、2009年以降、AOCコート・ド・ボルドーに再編成された。
以前、プルミエール・コート・ド・ブライ、コート・ド・カスティヨン、プルミエール・コート・ド・ボルドー、ボルドー・コート・ド・フランの4つのアペラシオンに分類されていたワインが、基本的にAOCコート・ド・ボルドーとしてまとめられた。コート・ド・ボルドーの頭に各産地の名前を入れ、それぞれの個性がわかるようになっている。
これらの再編成は、もともと複雑で分かりにくかったボルドーのアペラシオンをシンプル化するための一環として行われた。
全般的に、白ワインはソーヴィニヨン・ブランを主体とし、赤ワインはメルロー主体にカベルネ・ソーヴィニヨンやカベルネ・フランをブレンドしたものがメインとなっている。
ただし、プルミエール・コート・ド・ボルドーの白のように、特筆すべき個性のある産地はそのまま旧名称のアペラシオンが残っている。
代表的なワイン
・シャトー・モンペラ・レザマン/プルミエール・コート・ド・ボルドー
・シャトー・ラグランジュ/プルミエール・コート・ド・ボルドー
・シャトー・ラムース・ド・ホー/プルミエール・コート・ド・ボルドー
・シャトー・マラガール・ブラン