サン・テミリオン

サン・テミリオンのワインガイド:その特徴、選び方と楽しみ方

   

サン・テミリオンといえば、フランス・ボルドー地方を代表するワイン産地の名を冠する赤ワインだ。メルローを主体とした豊かなコクとまろやかさが特徴で、熟成を経ることでより深い味わいが楽しめる。その魅力はワイン愛好家から初心者まで幅広い層に支持され、世界的にも高く評価されている。ここでは、サン・テミリオンの特徴を余すところなく紹介する。

サン・テミリオン ワインの魅力とは?

サン・テミリオンは、ワイン大国フランスの中でも珠玉の銘醸地として知られている。その魅力は、豊かな土壌と長い歴史、そして何よりワインの卓越した味わいにある。
サン・テミリオンを代表するのは、メルローを主体とした赤ワインだ。その滑らかで芳醇なコクと、熟成によって引き出される複雑な風味は、一度口にすると忘れられない印象を残す。
サン・テミリオンのワインの最大の特徴は、畑ごとの個性が際立つ点にある。石灰質の丘陵地帯で育まれたぶどうは果実味が凝縮されたエレガントな味わいで、粘土質の低地で育つぶどうは力強さと深みがある。このように、多様な土壌が混在するテロワールが、ワインに豊かな表情をもたらす。
また、サン・テミリオンはその町自体がワイン文化の象徴でもある。1999年に文化的景観として世界遺産に登録されたこの地は、町全体が中世ヨーロッパの面影を色濃く残す美しい風景に包まれている。歴史的な建物や石畳の路地、壮麗なシャトーを訪れると、この土地がワイン文化と密接に結びついていることを強く感じられるだろう。
さらに、サン・テミリオンのワインは、他の高級ワインに比べても価格と品質のバランスに優れており、テーブルワインとしてはもちろん、大切な人への贈り物にも最適だ。
数多くのシャトーが生み出す逸品の中からお気に入りの一本を見つけるのも、サン・テミリオンならではの楽しみのひとつ。ひと口飲めば、サン・テミリオンがなぜ世界中のワイン愛好家に愛されるのか、その魅力を一瞬で理解できるだろう。

Saint-?milion Vineyard

サン・テミリオンのおすすめワイン3本

シャペル・ド・オーゾンヌ

シャトー・オーゾンヌは、サン・テミリオンを象徴する最高峰のシャトー。そのセカンドラベルである本作は、ファーストラベルの神髄を驚くほど手軽に体感できる至福の1本だ。
石灰岩の高台に位置する畑で育まれ、厳選したメルロー主体のぶどうから生まれるこのワインは、濃密でありながら洗練された味わいが特長。濃いルビー色の液体から立ち上るブラックベリーやスパイスの香りは、長い熟成を経てさらに複雑さを増す。滑らかなタンニンと深みのある果実味が奏でる絶妙なハーモニーに、ひと口で虜になるはずだ。
とりわけ、フォアグラやジビエ、熟成チーズとの相性は抜群だ。特別なひとときを、より華やかに演出してくれるだろう。
タイプ 赤ワイン
生産者 シャトー・オーゾンヌ
原産国/地域名 フランス ボルドー サン・テミリオン
France Bordeaux Saint-Émilion
ぶどう品種 メルロー、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン / 全品の平均樹齢 
ヴィンテージ 2020年
熟成 
内容量 750ml

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【クーポン配布中】シャペル ドーゾンヌ
価格:26,400円(税込、送料別) (2024/12/16時点)

シャトー・シュヴァル・ブラン

シャトー・シュヴァル・ブランもまた、サン・テミリオンを象徴する名門シャトーである。このシャトーが手がけた本作は、世界的なワイン評論家ロバート・パーカー氏が満点と評した傑作だ。
メルローとカベルネ・フランの絶妙なバランスが生み出す芳醇な味わいは、砂利質土壌の適度な水はけが育む果実特有のリッチで滑らかな質感によるもの。若いうちはフルーティーな魅力を放ち、熟成を重ねるごとに品格を増すその変化の鮮やかさが、多くの愛好家を魅了している。
牛フィレ肉のステーキやフォアグラのソテー、鴨のコンフィなどとともに、人生の節目を祝う最高の1本としてぜひおすすめしたい。
タイプ 赤ワイン
生産者 シャトー・シュヴァル・ブラン
原産国/地域名 フランス ボルドー サン・テミリオン
France Bordeaux Saint-Émilion
ぶどう品種 メルロー 51%、カベルネ・フラン 49% / 全品の平均樹齢 
ヴィンテージ 2005年
熟成 
内容量 750ml

シャトー・フィジャック

シャトー・フィジャックは、サン・テミリオンで最も歴史があり、今最も勢いのあるシャトーだ。このシャトーでは、伝統的なサン・テミリオンのメルロー主体のワインではなく、カベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンを多くブレンドした独自のワインを生産している。
排水性の良い砂利質土壌で育まれたぶどうから生み出されるワインは、深みのある色調と熟成により増す複雑なアロマが特徴。ブラックチェリーやスパイスの香りに、熟成を重ねるごとになめらかなタンニンが加わり、長い余韻を楽しむことができる。
特に、熟成したシャトー・フィジャックは、ジビエや牛肉のローストなどの料理と絶妙な相性を見せる。高貴な香りと味わいのハーモニーを楽しむ特別な1本として、ワイン愛好家にとって見逃せない存在だ。
タイプ 赤ワイン
生産者 シャトー・フィジャック
原産国/地域名 フランス ボルドー サン・テミリオン
France Bordeaux Saint-Émilion
ぶどう品種 メルロー37%、カベルネ・フラン32%、カベルネ・ソーヴィニヨン31% / 全品の平均樹齢 
ヴィンテージ 2020年
熟成 
内容量 750ml

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

シャトー・フィジャック [2020]750ml 【2020ボルドー】
価格:51,700円(税込、送料別) (2024/12/16時点)

サン・テミリオン ワインの特徴

ボルドー地方の中での位置づけ

サン・テミリオンはボルドー地方のワイン産地で、リブルネ地域の中心部に位置する赤ワインのAOC(原産地統制呼称)。1999年に世界で初めてワイン産地として世界遺産に登録された。ボルドー右岸を代表するワイン産地で、左岸のメドックと双璧をなす高級赤ワインの産地である。

サン・テミリオンの歴史的背景

サン・テミリオンの町は聖地サンティアゴ・コンポステラへの巡礼時の宿場町として古くから栄え、中世ヨーロッパそのままの町並みが残る。
古い家並みの間を縫う狭い石畳の急坂を上ると、丘の上には古い寺院が建てられている。そこから町を見下ろすと、赤瓦の屋根の先には段々畑のぶどう畑が広がっている。地区全体でも人口わずか2800人の小さな地域に数百という生産者がひしめき合い、ぶどう畑の合間には壮麗なシャトーが点在している。
AOCの認定を受けたのは1936年。ぶどう耕作面積は5500ha程である。

ワインを生み出す気候・風土

サン・テミリオン(Saint-Emilion)地区は、ジロンド県北東部に位置する。AOCの由来となっているサン・テミリオンの町を中心として、ドルドーニュ川の右岸にぶどう畑が広がる。
サン・テミリオンの気候は、ボルドー地方全体と同じく温暖な海洋性気候だ。やや内陸に位置するため、大陸性気候の特徴もある。ドルドーニュ川とその支流がもたらす水の恵みによって穏やかさが保たれている。
土壌は複雑で変化に富み、コートと呼ばれる石灰岩系の丘陵地帯と、グラーヴと呼ばれる石灰質と砂や粘土の斜面の2つの地域から、特に良質のワインが生まれる。前者はサン・テミリオンの町を囲む中央部に位置し、後者はポムロールとの境界に近い北東部に位置する。いずれも良質のメルローを育てるのに適しており、良質でキレがあるワインを生み出す。

サン・テミリオンワインの特徴

赤ワインの特性と風味~ぶどう品種の主体はメルロー~

使用品種はメルローが主体で、補足的にカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、コット(マルベック)がブレンドされる。
畑によって風味が微妙に異なるものの、ボルドーワインでありながらブルゴーニュに似たタイプとも評される。豊かなコクとまろやかさがあり、色調は紫味がほぼなく、タンニンは穏やかで、キイチゴの香りのものが多い。
最低4~8年の熟成が必要で、6~12年で最良の状態になる長期熟成型だが、良年のものであれば、20年以上の熟成で味わいがより一層深くなる。
サン・テミリオンの特徴は、シャトーの密集ぶりにもある。中小のシャトーが固まって存在しているため、ワインの選択肢が多く、ラベルの表示も混乱しやすい。

Saint-?milion, France

グラン・クリュ・クラッセについて

フランスワインには、その品質や評価を示すための格付けが存在する。この格付けは地域ごとに異なり、たとえばブルゴーニュ地方では畑単位で特級の称号である「グラン・クリュ」が認定される。
一方、サン・テミリオンには独自のシャトー単位の格付け「グラン・クリュ・クラッセ」が存在する。サン・テミリオンのAOCを有するシャトーの中でも特に良質とされるシャトーは、「サン・テミリオン・グラン・クリュ」という別のAOCを有することが許され、格付けの対象となる。

シャトーとその役割

サン・テミリオンのシャトーは、ワイン文化と歴史の象徴であり、ボルドー右岸に位置するこの地域の地形や気候条件を反映した特別なワインを生産している。シャトーは単なるワイン醸造施設ではなく、ワインづくりの伝統を受け継ぎ、革新を続ける中心的存在だ。多くのシャトーはぶどう栽培から醸造、熟成までを一貫して行い、個性的なワインを生み出している。
特に、サン・テミリオンのシャトーは、AOCの枠組みの中で「グラン・クリュ・クラッセ」として格付けされることで、その品質が保証されている。この格付けは地域経済に貢献し、観光客に地域の魅力を伝える役割も果たしている。
さらに、シャトーの所有者や醸造家たちは、持続可能な農業や革新的な技術の導入にも積極的であり、地域の環境保護にも取り組んでいる。

サン・テミリオンの格付け制度

格付けの基準とプロセス

サン・テミリオンでは、1955年以来、公的な格付けが行われており、AOCサン・テミリオン・グラン・クリュの中から優良シャトーを選出し、主に「プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ」と、「グラン・クリュ・クラッセ」の2つに分類している。前者はさらに、クラスAとクラスBにランク分けされる。
2022年時点では、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセのクラスAに2、クラスBに12、グラン・クリュ・クラッセに71のシャトーが選出されている。

Saint-Emilion Chateau l'angelus 1978

サン・テミリオン グラン・クリュの評価

格付け外のAOCサン・テミリオン・グラン・クリュは約200シャトー以上あり、サン・テミリオン地区のシャトーの多さを推し量ることができる。この格付けは10年ごとに見直されるが、2006年に見直しが行われた際に降格となったシャトーが不服申し立てを行い、取り消し判定が出されるという騒動があった。イレギュラーではあるが、1996年の格付けが2011年まで延長された。
最上級のクラスAには従来から世界的に知られる高級ワインのシャトー・オーゾンヌなど、シャトー・シュヴァル・ブランの2シャトーが指定されていたが、2012年にシャトー・アンジェリュス、シャトー・パヴィの2つも昇格し、計4つとなった。
しかし、2022年の格付けでは、クラスAに長年君臨してきたシャトー・オーゾンヌとシャトー・シュヴァル・ブランが審査基準への疑義を理由に格付けに参加せず、前回昇格したばかりのシャトー・アンジェリュスも前回の審査で不正をしたとして参加を辞退。クラスAはシャトー・パヴィと新たに昇格したシャトー・フィジャックの2つとなった。

2008 Cour du Roy Saint Emilion from Gironde, France

一押しのワイナリー・当たり年

サン・テミリオンには数多くのシャトーが存在するが、代表的なものとしてシャトー・オーゾンヌ、シャトー・シュヴァル・ブラン、シャトー・アンジェリュス、シャトー・パヴィ、シャトー・フィジャック、シャトー・ボーセジュール・ベコ、シャトー・サン・ブリス、シャトー・ド・ヴァランドロー、シャトー・クロワ・ド・ラブリー、シャトー・ソレイユ、シャトー・モヴィノン、シャトー・カルティエ、シャトー・カノン・ラ・ガフリエールなどが挙げられる。
サン・テミリオンの主な当たり年は、1947年、1982年、1989年、1990年、1998年、2000年、2005年、2009年、2010年、2015年、2016年、2019年、2022年。評論家の声や自身の記念日などに照らして、好みのヴィンテージを探してみてほしい。

St Emilion Grand Cru

サン・テミリオンのワイン関連訪問ガイド

ワイナリー巡りのおすすめスポット

サン・テミリオンは世界的に有名なワインの産地であり、訪れる価値のあるワイナリーが数多く存在している。右岸で最高と評されるテロワールを誇るシャトー・オーゾンヌでは、石灰岩台地の恩恵を受けた濃厚でエレガントなワインがつくられている。シャトー・アンジェリュスでは、伝統的な手摘み収穫と革新的な醸造技術が融合したワインを楽しめる。また、シャトー・ラ・クロワジールでは、ワインづくりの秘密や歴史を学べる上、ワインの飲み比べまでできる。これらのワイナリーを巡れば、サン・テミリオンの多様性を存分に味わえるだろう。

現地で楽しむワイン体験

サン・テミリオンでは、ワイナリー訪問を通じてメルローなどのぶどう栽培やワイン醸造について学ぶツアーが多数提供されている。地元のガイドが同行するツアーでは、ワインの歴史やテイスティングの方法を学ぶだけでなく、壮大なぶどう畑を見渡しながら特別な体験が楽しめる。また、町には多くのレストランがあり、ワインと共に地元料理を味わうこともできる。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitter で