ボルドー地方のグラーヴ地域にあるワイン生産地で、赤ワインと白ワインの地区AOCである。1987年にグラーヴ地域の10ヶ村に与えられたAOCで、品質基準がAOCグラーヴよりも厳しくなっている。
グラーヴ地域の北部に位置し、ペサック村とレオニャン村を中心とし、メリニャック村、タランス村、ヴィルナーヴ・ドルノン村、カドジャック村の10ヶ村がこの地区に含まれる。
ボルドーの町に近いこのAOCは良質の赤ワインと辛口白ワインを産し、ブドウの収穫量やアルコール度数についてAOCグラーヴよりも厳しいAOC基準が設定されている。1959年のグラーヴ地域独自の格付けでは、選出されたほとんどのシャトーはこのAOCペサック・レオニャンに集中しており、この地区が古くからグラーヴ地域を代表する銘醸地であったことが分かる。
1855年のメドックの格付け1級の5大シャトーのうちシャトー・オーブリオンはこの地区AOCペサック・レオニャンが有する。メドックの格付けシャトーのうちメドック外の土地が含まれる地所としては唯一の取得である。
シャトー・オーブリオンはボルドー市近くのペサック村に位置する。このシャトーではグラン・クリュ(格付け1級)ワインに加え、セカンドワインも生産しており、2007年まではラベルにはシャトー・バーンズ・オーブリオン、それ以降はル・クラランス・ド・オー・ブリオンと記されている。
“Ch?teau La Mission Haut-Brion” by Benjamin Zingg, Switzerland – Own work. Licensed under CC BY-SA 2.5 via Wikimedia Commons.
ガロンヌ川に近い一帯の土壌は大きな黄土色の砂利で、少し内陸の東側は小さな白い砂利である。そのためワインは一様ではないが、強いて言えばこのAOCの赤ワインは黒い果実や杉のような芳香が華やかで多彩、力強くボディが豊かなワインであると言える。
白ワインは同じ辛口でもブルゴーニュワインのような酸味は持ち合わせておらず、ボディはしっかりとした特有の味わいを持つ優れたものである。若い白はフルーティで豊かな桃のような香りを持ち、バランスがよく、色調は薄いレモン色だが、7年から15年熟成させると木の実やハチミツ、カスタードのような香りと豊かな黄金色に変化する。
赤に使われる品種は主にカベルネ・ソーヴィニヨン、他にはカベルネ・フラン、メルローで、ごく補足的にプチ・ヴェルドとコット(マルベック)が使われる。白に使われる品種はソーヴィニヨン・ブランとセミヨンで、ブレンドされることが多い。