ボルドー地方の地域AOCオー・メドックの中にある赤ワインのAOC。AOC名の由来であるマルゴー村は、メドックの格付け1級のシャトー・マルゴーを有するなど、優れた赤ワインを産出する。1954年にAOC認定された。
マルゴー村とその周辺の4つの村、カントナック村、スーサン村、アルザック村、ラバルト村のブドウを使ったワインがこのAOCを名乗ることが許可されている。ガロンヌ川が運んだ肥沃な沖積土の土壌は、メドックの他の村と同じようにブドウ栽培に最適であることはもちろんのこと、マルゴーの特徴はその厚い砂利の層にある。水はけの良い土壌に生えるブドウの木は水分を求めて地下水近くまで深く根を下ろす。そうしたブドウから、優美で柔らかくふくらみがあり、芳香が精妙で、メドックの中で最も女性的とされるワインが生み出される。
マルゴーの使用品種はカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高く、カベルネ・フランやメルローも使われる。ゆっくりと熟成する長期熟成に適したワインである。
1855年のメドックの格付け銘柄のシャトーワインは、芯がしっかりとした腰のある強さに、気品と風格、丹念に育てられた丁寧な味わいがある。1級の格付けシャトーは世界的に高名なシャトー・マルゴーで、フランス文化の華とも栄光のシンボルとも言われる。
ワイン造りの伝統に則ったそのワインは、芳醇で優美さと品格を備え、格付け当時から5大シャトーの先頭を争うボルドーの女王とされる。最たる特徴はその並外れたタンニンのしなやかさで、柔和で優しく香り高い個性が女性的とされる所以である。
このシャトーのセカンドラベルはパヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴーである。白ワイン、パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴーも造られており、非常に濃厚で複雑な味わいの高級白ワインとして世界的に知られている。
2級格付けシャトーは6つ、3級格付けは10シャトー、4級格付けは3シャトー、5級格付けは2シャトーと、2級以下の格付けでは21シャトーが選出されている。2級シャトーは、有名なファッションブランドのシャネルが所有するローザン・セグラ、ローザン・ガッシー、デュルフォール・ヴィヴァン、ラスコンブ、ブラーヌ・カントナックの6つである。3級格付けではパルメが有名で、年によっては1級をしのぐと言われており、スーパー・セカンドの呼称を与えられた最初のワインでもある。