フランス東部ブルゴーニュ地方ヨンヌ県、シャブリ地区の南西に隣接するワイン産地。この地区のピノ・ノワール種を主体とした赤ワインに認められたAOCである。
シャブリ地区の南西に隣接するAOCで、かつて地域AOCであったブルゴーニュ・イランシーが1999年に村名AOCに昇格したものである。
指定された村は、AOC名の由来となっているイランシー村と、クラヴァン村、ヴァンスロット村、の3つの村からなる小さな栽培地区である。畑の起源は古く、古代ローマ人が開拓されたものであるとされる。
ワインはピノ・ノワール種のみ、あるいは90%以上使用しており、地元の固有品種であるセザール種を10%以内でブレンドすることが定められている。一部ではロゼワインも生産されている。
ブルゴーニュ地方の赤ワインとしては比較的軽めの味わいで、色調はロゼワインを彷彿とさせる明るく薄い色である。瓶に詰められたのち3年か4年程度に飲まれるのが好ましいが、良年のものはそれ以上の熟成に耐えるものが多い。
品質の優れたワインであるが生産量が少ないため、日本ではまだ見かけることが少ないブランドである。
“Irancy Sillage Domaine VERRET” by Bdvinum – Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
イランシー地区は渓谷の中空に位置し、斜面はブドウとサクランボの木で埋め尽くされている。こうした斜面にあるブドウの木は冬の厳しい気象条件から逃れることができ、また実が熟すのを促すのに十分な日照を得ることもできる。この地区は、赤ワイン用ブドウの栽培の北限ともされている。