フランス東部ブルゴーニュ地方のワイン産地で、コート・ド・ニュイ地区の中北部に位置する村名AOC。
主にピノ・ノワール100%で造られる赤ワインのAOCで、ブルゴーニュではヴォーヌ・ロマネ村と肩を並べる良質のワインを産出する。1936年にAOC認定された。
元来シトー修道院に属していた由緒ある畑で、非常に素晴らしい畑であったためにいたずらに面積を増やすことなく、高品質なワインを造り続けている。
シャンボール・ミュジニーは気品と繊細さが凝縮された優美なワインで、ブルゴーニュで最も女性的なワイン、ブルゴーニュの貴婦人などと形容される。
色調は生き生きとしたルビー色で輝きがあり、ときにはその光沢はそのままに濃い色調となることもある。香りはスミレ、イチゴやキイチゴといった小さな赤い果実の香りが典型的な特徴。熟成を経ることでスパイシーさや熟した果実香、プルーンやトリュフ、森の下草や動物的な香りが加わる。こうした華やかな芳香が絹やレースのような舌触りとともに複雑に広がり、洗練された中にも堅固で長命な骨組みがある。比較的甘味が強く、酸は少なくタンニンはまろやかである。
なお、僅かな畑に植えられたシャルドネから希少なミュニジー・ブランが造られていたが、1990年代に植え替えが行われ、1993年以降はブルゴーニュ・ブランとしてラベル表示されている。
AOC名の由来となっているシャンボール・ミュジニー村の集落にあり、標高250から300メートルの東向の斜面に畑が広がる。これはコート・ド・ニュイ地区の中では最も小高い場所に位置する。ブドウ耕作面積は約152ヘクタールで、うち56ヘクタール程がプルミエ・クリュ(1級畑)である。
土壌は石灰岩と粘土質の混合土壌だが、石灰岩の含有率が高い。シャンボール・ミュジニーのワインの性質はコート・ド・ニュイ地区の中でも異質とされるが、こうした地質的・地形的な条件が、女性的と形容される柔らかく繊細な赤ワインを産出するとされる。
グラン・クリュ(特級畑)は、ミュニジーとボンヌ・マールと2つクリマがある。それぞれに性格が異なり、北部のボンヌ・マールのものは色が濃く、タンニンも強く長寿で、男性的なワインで、南部のミュニジーのものは軽くソフトで女性的であるとされる。プルミエ・クリュ(1級畑)のクリマ(区画)が24ある。中でもレ・ザムールズは、恋する女性たちを意味する名前にふさわしい女性的な性質を持ち、そのユニークな名前からもグラン・クリュに匹敵する名声を呼んでいる。