マルサネは、ブルゴーニュ地方のコート・ド・ニュイ地区北部に位置する産地。ピノ・ノワールの赤、ピノ・ノワールとガメイのロゼ、シャルドネの白を産する。
マルサネの気候・風土
フランス東部ブルゴーニュ地方のワイン産地。コート・ド・ニュイ地区の最北部に位置する。赤ワインと白ワインの村名AOCで、1987年に認定された。
なお、この地区造られるロゼワインは、AOCマルサネ・ロゼを名乗る。コート・ド・ニュイ内で同名AOCの赤・白・ロゼ、すべてを認められた唯一の産地だ。
AOC名の由来となっているのはコート・ドール県のマルサネ・ラ・コート村で、北東に隣接するシュノーヴ村と、西に接するクシェ村とともにAOCマルサネの生産地となっている。
県内のワイン産地では最北に位置し、生産量の3分の2を占める赤ワインと少量の白ワイン、ブルゴーニュ地方では唯一の村名 AOCが認められたAOCマルサネ・ロゼを産する地区である。
2008年時点ではぶどう耕作面積は合計約230haで、そのうち約30haがAOCマルサネ・ロゼのための畑である。なお、マルサネ地区にはグラン・クリュやプルミエ・クリュの畑はない。
ぶどう畑は山麓の斜面に広がり、その標高は平均300mほど。斜面は東南に向いており、十分な日照量が確保できる。土壌は中期ジュラ紀の複雑な土壌で、小石などの堆積物や化石岩、泥杯岩が入り混じる。
マルサネの特徴
使用品種は、赤はピノ・ノワール、ロゼはピノ・ノワールとガメイ、白ワインはシャルドネからつくられる。赤やロゼに少量のピノ・ブラン、ピノ・グリがブレンドされることも稀にある。白ワインにピノ・ブランが稀に使われることがあるが、ほとんどがシャルドネ100%で造られる。
赤ワインはミディアムボディで色調も美しく、熟成に耐えるものであるが、ブルゴーニュ地方の村名ワインの中では比較的軽めの味わいである。
いちごなどの赤い果実、カシスなどの黒い果実の香りが特徴的で、力強いアタックとコクがあり、長い余韻が楽しめる。
全体的な特徴としては、同じコート・ド・ニュイのフィサンやジュブレ・シャンベルタンに近い。赤身の肉と合わせることが多いが、コイなどの川魚と合わせることも可能だ。
また、熟成させたものはエポワスなどブルゴーニュで有名なチーズと抜群のハーモニーを奏でる。ロゼワインは、桃の香りを持ち、柔らかいが溌剌さも備えた若飲みタイプである。白ワインは白い花の香りや柑橘のイメージが芳しく、バランスよくパワフルかつ細やかで、ボリューム感のある味わいである。
一押しのワイナリー/当たり年
マルサネのつくり手の中で、各方面にて評価をされているつくり手として、ブリュノ・クレール、フィリップ・シャルロパン、ジャン・フルニエ、オリヴィエ・ギュイヨ、ジャン・ルイなどが挙げられる。
ブルゴーニュ地方コート・ド・ニュイ地区のワインは、当たり年が2010年、2009年、2005年、2003年、1999年、1990年と言われ、価格が上がる傾向が強い。
エピソード
コート・ド・ニュイ地区は、ロマネ・コンティ、シャンベルタン、ミュニジー、クロ・ド・ヴァージョな ど、ブルゴーニュ地方の中でも最も偉大なワインを生み出す地区で、南北の長さが20キロ弱、幅数百メートルの小さな一帯である。
生産されるワインは殆どが赤で、ヴァージョやモレイでわずかに白が造られる。畑や村ごとに相違点はあるものの総じてスタイルは同じで、素直ではっきりとしたややハードなワインである。
全体的に共通してイチゴのような強い芳香を持ち、長期熟成を要する。各村は世界に冠たるグラン・クリュ(特級畑)とそれに劣らぬプルミエ・クリュ(1級畑)を多く有し、高品質なワインを産出している。コート・ド・ニュイの南北に途切れず続くブドウ畑を結ぶルートは「ルート・ド・グラン・クリュ(特級畑街道)」と呼ばれている。