フランス東部ブルゴーニュ地方、ボージョレー地区で特に優れた10地区に与えられたAOCの総称。ボージョレー地区の北部に位置する。
軽い若飲みのボージョレー・ワインにあって、このAOCは色調が濃いフルボディで長熟に耐える赤ワインである。早飲みタイプもあるが、多くは4~5年の熟成を必要とする。
ボージョレーでは一般のブルゴーニュのようにグラン・クリュ(特級畑)やプルミエ・クリュ(一級畑)の格付けはないが、並みのAOCボージョレーに対し、指定された38ヶ村で造られる比較的優良なものをAOCボージョレー・ヴィラージュ、更に優れた生産地でつくられたワインをAOCクリュ・ボージョレーと総称する。クリュ・ボージョレーは赤ワインのみに認められており、生産量はボージョレー全体の26%を占める。
通常ブルゴーニュワインでクリュというと個々の畑を意味するが、ボージョレーの場合は地区全体を指す用語として使われている。サン・タムール、シェナ、ジュリエナ、シルーブル、ブルイィ、コート・ド・ブルイィ、フルーリ、ムーラン・ナ・ヴァン、モルゴン、レニエの10の地区がこれに相当する。単独の村で名乗るAOCと、複数の村でひとつの地区を構成するAOCがあり、行政区画上は22ヶ村がクリュ・ボージョレーに含まれる。
ボージョレーというとヌーヴォーが非常に有名であるが、このAOCクリュ・ボージョレーはコート・ドール地区に匹敵するともされる素晴らしいワインを生産している。商業的な印象が根付きつつあるボージョレー・ヌーヴォーと区別する目的で、ラベルにはボージョレーの名を記さないことが多々あり、またAOCクリュ・ボージョレーとしてはヌーヴォー(試飲新酒)の製造が禁止されており、この地区内で造られるヌーヴォーはボージョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォーかボージョレー・ヌーヴォーと表記される。