フランス東部ブルゴーニュ地方のボージョレー地区の赤ワインの村名AOCであるクリュ・ボージョレーのひとつ。クリュ・ボージョレーの中で最も広く、指定地域内にはAOCコート・ド・ブルイィを含む。1938年にAOC認定された。
ボージョレー地区はブルゴーニュ地方の最南に位置するが、そのなかで最良の10の地区に認められたクリュ・ボージョレーはボージョレー地区の北部に集中して位置している。その中で最も南に位置し、ブドウ耕作面積が最も大きいのがこのAOCブルイィで、約1,330ヘクタールある。ブルイィ山の周囲に位置し、行政区画上は6つの村に跨って畑が広がっている。AOCボージョレー・ヴィラージュとなるブドウを栽培している区画もあるが、片岩と花崗岩の混ざった土壌の畑だけからAOCブルイィを名乗ることができるワインが造られている。
ボージョレー・ワインはガメ種100%で造られることで知られるが、このAOCでは例外的にガメ種85%以上で造られており、香味調節のためにシャルドネ、アリゴテ、ムロン・ド・ブルゴーニュの3種の白ブドウを加えて醸造することが認められている。ワインは果実香が豊かで、軽妙かつ爽やかである。ブルーベリーやサクランボ、ラズベリーやスグリの鮮やかな香りが印象的で、長期熟成には向かず寿命は短く、収穫から4年以内に飲まれることが望ましいとされる。
AOCブルイィの中心部に標高729メートル程のブルイィ山があるが、この山頂を取り囲む標高の高い斜面にある4ヶ村が独立したAOCコート・ド・ブルイィを名乗る。ブドウ耕作面積320ヘクタールのこのAOCは、ボージョレーの中でも早くから知名度が高かった土地のひとつである。AOCブルイィと同様に、ガメ種に白ブドウ品種をブレンドして造られるワインは、ブルーベリーやサクランボの香りが特徴的である。色調は紫がって濃く、風味豊かで比較的ボディがしっかりしており、3年~4年の熟成を要する。標高が高いため、ボージョレー・ワインのなかで最も繊細で女性的といわれ、AOCブルイィよりも格上的存在として認知されている。毎年晩夏にAOCコート・ド・ブルイィの丘の上で催されるワイン・フェスティバルは世界的に有名で、毎年多くの集客がある。