フランス東部ブルゴーニュ地方、ボージョレー地区の赤ワインの村名AOCであるクリュ・ボージョレーのひとつ。タンニンが強く、堅固で厚みのある味わいが特徴である。1936年にAOC認定された。
ボージョレー地区はブルゴーニュ地方の最南に位置するが、そのなかで最良の10の地区に認められたクリュ・ボージョレーはボージョレー地区の北部に集中して位置している。AOC名は産地であるヴィリエ・モルゴン村に由来しており、クリュ・ボージョレーのなかで生産量はAOCブルイィに次いで多く、ブドウ耕作面積は約1,130ヘクタールである。全体的に花崗岩土壌だが、中央部から北西部にかけては特有の片岩質を含んだ傾斜の強い畑が多い。耕作面積が広いこともあり、北部と南部ではテロワールが大きく異なり、南部のものは肉付きのよいモルゴンの特徴に欠けるものもある。
ボージョレー・ワインはガメ種100%で造られることで知られ、このAOCも同様である。軽めのワインが多いボージョレーにあって、クリュ・ボージョレーの中にはフルボディのAOCが4つあるが、モルゴンはそのひとつである。力強いワインを産し、5年程度の熟成を経ることでブルゴーニュワインの特徴であるシルキーでなめらかな舌触りとなる。色調は深みのある赤で、アンズや桃の香りのある、芳醇な味わいである。
AOCモルゴンの中央部には、コート・ド・ピ(Cote de Py)と呼ばれる特別な丘がある。標高約460メートルにもなる小高い丘の頂上にまでブドウ畑があり、ここでとれるブドウからは最も力強い芳醇なモルゴン・ワインが造られる。この畑を持つシャトー・デ・ロッシュはこの地区の優れた造り手として有名であったが、1996年ボーヌのネゴシアン、ルイ・ジャド社に買収され、それ以降更に名声が上がった。なおこのシャトーは他にも優れた畑を持っており、合計で5つの畑名入りワインを産出している。
一押しのワイナリー/当たり年
モルゴン(Morgon)の生産者のうち、各方面にて高い評価を得ている作り手として、シャトー・デ・ジャック(Chateau des Jaques)、ドメーヌ・ピロン(Domaines Pirom)、マルセル・ラピエール(Marcel Lapierre)、ジョルジュ・デコンブ(Georges Descombes)、バラック・ド・ラ・ペリエール(Brac De La Perrier)、メゾン・ジョゼフ・ドルーアン(Joseph Drouhin)、ジョセフ・シャモナール(Jospeh Chamonard)、ドメーヌ・ジャン・マルク・ビュルゴー(Domaines Jean-Marc Burgaud)、ドメーヌ・シャスレイ、ジョルジュ・デュブッフ(Georges Duboeuf)などが挙げられる。
ブルゴーニュの赤ワインは2009年、2005年、2003年、2002年 、1999年、1995年、1990年の出来が良いと評価される。モルゴンのワインは2000~5000円台とリーズナブルな価格・値段のものが多く、あまり熟成を重ねる前に消費される。