ボワ・オルディネール/ボワ・ア・テロワールの気候・風土
ボワ・オルディネールは、フランス西部・コニャックのクリュ(生産地)だ。ボワ・ア・テロワールと呼称されることもある。
混同されやすいが、もともとコニャックとはブランデーの銘柄ではなく、この地方と、中心部のシャラント川沿いの町のことを指す。ここでつくられる優れたブランデーが、そのまま町の名前を取ってコニャックと呼ばれている。
AOC指定を受けたのは1938年のことで、その際土壌の特性ごとに6つの地域に分けられた。ボワ・オルディネールはコニャックの中でも西側の、大西洋に面した海岸沿いの部分とオレロン島を含む島嶼部が該当する。
気候は海洋性気候で、海からの風の影響を受ける。土壌は大半が砂質で、塩分を含むが石灰質は多くない。
栽培されるぶどうはユニ・ブラン、コロンバール、フォル・ブランシュの3種類がメインで、特にユニ・ブランの割合が非常に多い。
ボワ・オルディネール/ボワ・ア・テロワールのワインの特徴
主にユニ・ブランによる白ワインがつくられ、それが2度にわたる蒸留と熟成を経てブランデーとなる。こうしてつくられるブランデーのことを、フランスではオー・ド・ヴィ(生命の水)と呼ぶ。
ボワ・オルディネールのブランデーは他の地域より熟成が早く、テロワール(土地や生育環境)独特の味わいを持つ。品質はコニャックのブランデーの中では比較的平凡な部類に入る。
コニャックにおいてより優れた品質を持つブランデーとしては、グランド・シャンパーニュやプティット・シャンパーニュがあげられる。これらの地域は、共通して土壌に石灰質を多く含むという特徴がある。
エピソード
ボワ・オルディネールの北側には港町ラ・ロッシェールがある。かつては漁港だけでなくワインの積み出し港としても栄えた。
ワインと違い、ブランデーには年ごとのヴィンテージというものが存在しない。これはブランデーの製法によるもので、オー・ド・ヴィをオーク樽で熟成させたのち、何種類ものオー・ド・ヴィとブレンドさせるためだ。