リュベロンはフランスのローヌ南部にあるAOCだ。他のローヌのAOCとは異なり、シラー種をメインとする赤ワインをメインに生産している。大手や新興新規の注目すべき生産者ワイナリーが増え、脚光を浴びつつある産地と言える。
リュベロンの気候・風土
リュベロンはフランス南部、ローヌ地方南部のAOCだ。1988年にAOCに認定され、2009年にコート・デュ・リュベロンから現名称に改名された。ローヌ南部のAOCとしては最も東にあり、ヴァントーAOC、コトー・ド・エクサンプロヴァンスAOCと隣接する。一帯はリュベロン国立公園の中にあり、ローヌ地方とプロヴァンス地方のちょうど間に位置し、ワインの特徴にもローヌとプロヴァンスの個性が見て取れる。
この周辺には、デュランス川やその支流カラヴォン川が流れ、北にはリュベロン山脈が東西に横たわる。
ぶどう畑は地中海から31kmほどの距離の、南向きの斜面に展開する。気候は地中海性気候に属し、温暖で降雨量は少ない。土壌は小石の混じった粘土、もしくは石灰質土壌。
ローヌ南部における他地域同様、このAOCもミストラルと呼ばれる北風の影響を強く受ける。
リュベロンのワインの特徴
フルボディの赤ワインがメインだが、白やロゼもつくられる。
コート・デュ・ローヌをはじめ、ローヌ南部ではグルナッシュ種をメインとするワインが多い中、リュベロンではシラー種をメインとして用いられるワインが多く、グルナッシュ種やムールヴェードル種、サンソー種、カリニャン種の混醸が認められる。カリニャン種の混醸割合は20%までとなっている。
赤ワインはフルボディで、ハーブのニュアンスのあるものがメインだ。熟成に適したしっかりとしたものが多い。
白ワインは、グルナッシュ・ブラン種、クレレット種、マルサンヌ種やルーサンヌ種などの混醸によるが、生産量は多くない。辛口の中にもボディがしっかりしている、いわゆるローヌスタイルのものがメインだ。
ちなみに、赤白ともに地域内では単一品種のワインもつくられているが、AOCとしては単一品種を認めず混醸のみ。単一品種のワインはIGPヴォークリューズとして販売される。
エピソード
リュベロンは観光地として人気が高く、パブロ・ピカソなど数々の芸術家にも愛された。
イギリス出身の作家ピーター・メイルが、1989年の作品「南仏プロヴァンスの12ヶ月」で取り上げてから非常に有名になった。作品において舞台としたのは、リュベロンの田舎町メネルブであった。
同氏原作、ラッセル・クロウ主演の2006年映画「プロヴァンスの贈りもの」でも、同じくリュベロンの都市ゴルドが舞台となった。ゴルドは「鷲の巣村」と呼ばれる、崖沿いの石造りの建築様式で知られ、リュベロン地方で最も有名な観光地となっている。
ちなみにこの映画のラストシーンに登場するシャトー・ラ・カノルグは、リュベロンを代表するドメーヌとして、高品質なワインを生産し続けている。
現在、リュベロンは著名な俳優や実業家出資のワイナリーが増え、一躍注目の生産地となった。
また、M.シャプティエなどの大手生産者がコストパフォーマンスの良いワインを産出しており、今後さらなるポテンシャルを持った地域として熱い視線を集めている。
リュベロンの代表的なワイン
シャトー・ラ・カノルグ コート・デュ、リュベロン コアン・ペルデュ
シャトー・ラ・カノルグ リュベロン ルージュ
M・シャプティエ リュベロン ルージュ ラ・シボワーズ・ルージュ
ピック&シャプティエ コート・デュ・リュベロン