ミュスカ・ボーム・ド・ヴニーズの気候・風土
ミュスカ・ボーム・ド・ヴニーズは、ローヌ地方南部に位置する。石灰岩でできた山、ダンテル・デ・モンミライユの麓に広がるA.O.C.で、ぶどう栽培面積は、およそ490haだ。
温暖な地中海性気候となっている。山麓に広がるため、冬から春にかけてアルプス山脈からローヌ河谷を通って地中海に吹き降ろす冷たく乾燥した北風ミストラルの影響を受けにくい。
ミュスカ・ボーム・ド・ヴニーズのワインの特徴
ミュスカ・ボーム・ド・ヴニーズは、1945年から白ワインのみA.O.C.に認定されている。
発酵途中にブランデーを添加してぶどうの発酵を止める方法で、酒精強化ワインの一種であるヴァン・ドゥ・ナチュレル(VDN)と呼ばれる天然甘口ワインを生産している。そのVDNだけが「ミュスカ・ボーム・ド・ヴニーズ」と名乗れる。
ミュスカ・ボーム・ド・ヴニーズは、「ちいさいミュスカ」という意味のミュスカ・ア・プティ・グラン種を使ってつくられている。ぶどうを完全に発酵させないため、ぶどうの甘味や香りが残る。
桃やオレンジを感じさせる甘い果実の香りが豊かで、色は淡い金色。しっかりとした甘味を持つが、さっぱりしている。
エピソード
ミュスカ・ボーム・ド・ヴニーズも含まれているコート・デュ・ローヌは、ローヌ河岸に沿って南北におよそ200kmにもおよぶ地域名のA.O.C.。小域でA.O.C.に認定されていない場合、指定地区内であれば、コート・デュ・ローヌの名前でワインを出荷できる。
コート・デュ・ローヌは、14世紀の「アヴィニョン幽囚」以降、歴代のローマ法王がローヌ南部にぶどう畑を所有してワインを楽しんだという歴史も持つ。
ローヌ地方のワインは、フランスの2大産地であるボルドー地方、ブルゴーニュ地方のワインに次ぐ上質なワインとして世界で認められている。そうした中で、ミュスカ種からつくられる甘口の白ワインは、フランスのヒット・ワインのひとつに数えられる「おしゃれなデザートワイン」を獲得し、その名を世界に広めた。
ミュスカ・ボーム・ド・ヴニーズの代表的なワイン
ミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ/ドメーヌ・デ・ベルナルダン
ミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ/シャトー・ペスキエ
ミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ/M・シャプティエ