カオールの気候・風土
カオールはガロンヌ川の支流・ロット川流域にあり、2000年の歴史を持つことから、フランスで最も古いと称されるぶどう栽培地の1つだ。
ロット川流域に曲線を描くようにつくられたカオールは、旧市街地など、中世を思わせるような情緒あふれる町並みとなっている。赤レンガ、石灰岩、砂岩などで彩られた町並みで、観光名所も豊富にある。
ぶどう栽培地としてのカオールを見ると、同じ地区内でも東と西の気温差が比較的大きい。地区の西側、ロット川付近に広がる畑は温暖な気候に恵まれ、東側の畑と比べて2週間ほども早くからぶどうの収穫が始まる。「海からの風」という意味がある暖かな風・オータンが吹き込み、冬の厳しい寒さからも守ってくれる。
土壌は石炭質で、乾燥しやすいがミネラル分を多く含み、ぶどう栽培には適した環境だ。
収穫は手摘みと機械式の両方を導入。収穫時期によりぶどうの品質が左右されるため、タイミングを見極めて素早く作業を進める。
栽培しているぶどうの品種は、伝統的品種のマルベックをはじめ、メルロー、タナなど。
カオールのワインの特徴
「黒のワイン」とも呼ばれるほど濃厚な赤が特徴的なカオールワイン。マルベックを70%以上使用するように義務付けられている。
ベリーのスパイシーな香りと凝縮されたブドウの甘み、時折広がるアーモンドのアクセントが赤ワインのコクを引き立てる。力強いボディとは裏腹に、さっぱりと締まるフィニッシュ。ほどよい酸味とまろやかさがバランスよく、深みのある赤ワインを堪能することができる。
肉料理、チーズ、煮込み料理との相性は申し分ない。
エピソード
カオールの赤ワインはその外見から「ブラックワイン」と称されるほど。希少価値が高く入手は極めて困難だ。
ブラックワイン愛好家でもある高級ブランド・カルティエの元会長アラン・ドミニク氏が、カオールのシャトーを買収したというエピソードも残されている。
カオールの代表的なワイン
グレヨンAOC カオール
レ・コント・カオール
シャトー・ラマルティーヌ・カオール・エクスプレッション