ジュランソンの気候・風土
ジュランソン(Jurancon)はフランス南西端のワイン産地で、スペイン国境に程近いピレネー山脈に隣接している。歴史あるポーという村の近郊で、面積は1000haほどだ。
気候は穏やかで、ヤシやバナナ、レモンやイチジクなどの果物や野菜が栽培されている。特徴的なのは、ピレネーから強風が吹き降ろし、昼夜の温度差が激しいところ。この気象条件がぶどうから水分を奪い、強い甘みと酸味を残す。
土壌は石灰岩質で、その上に粘土砂岩、沈泥が広がる。「ジュランソンの礫岩」として広く知られている。
ジュランソンのワインの特徴
ジュランソンでつくられるワインは、半甘口から極甘口の白ワイン。普通の製法で作られる半甘口タイプよりも有名なのが「ヴァンダンジュ・タルディヴ」だ。
ヴァンダンジュ・タルディヴには、収穫期を通常より遅らせたぶどうを使用する。遅摘みすることで果実から水分が抜けて干しブドウ状になり、風味や甘みが濃くなるのが特徴。辛口のワインには「セック」という表記を加えて「ジュランソン・セック」(辛口のジュランソン)と称される。
ジュランソンの原料となるぶどうの品種はプティ・マンサン、グロ・マンサン、クルビュー、カマラなど。特に栽培の難しいプティ・マンサン100%、あるいはプティ・マンサンを主体に配合されたものは極甘口となり、希少価値も高く値段も張る場合が多い。
ジュランソンの極甘口はイチジクやキャラメル、バニラの香りがするものもある。濃厚なナッツの香りと柑橘系のジャムのような風味が口に余韻を残す。
一方のジュランソン・セックは、ライチやレモン、白バラのような香りがある。さっぱりとした口当たりのものからコクのあるものまで幅広く、値段も安価なものから高価なものまでさまざまだ。
一押しのワイナリー/当たり年
ジュランソン(Jurancon)の生産者のうち、各方面にて高い評価を得ている作り手として、ドメーヌ・コアペ(Domaine Cauhape)、シャトー・デュ・ジュルク(Chateau Du Jurque)、シャトー・ジョリー(Chateau Jolys)、ディディエ・ダグノー(Didier Dagueneau)、プリモ・パラテューム(Primo Palatum)、ドメーヌ・クロ・ウルラ(Domaine Clos Uroulat )、ドメーヌ・カプドヴィエル(Domaine Capdevielle)、ドゥ・スーシュ(De Souch)などが挙げられる。
南西部の甘口ワインはあまり当たり年で評価をされることがなく、あくまで作り手やワインの出来によって価格・値段が左右される。2000円台から1万円以上までの幅広い価格にて販売されている。
エピソード
ジュランソンに程近いポー市は歴史ある古い村で、ブルボン王朝の創始者アンリ4世誕生の地。彼の洗礼式で使われたのは、ジュランソンの甘口白ワインだったという。
アンリ4世はこのジュランソンのワインを好んで飲んでいたと伝えられている。
ジュランソンの代表的なワイン
ジュランソン バレ・ドクトーブル/コアペ
ノーブレス・デュ・タン /コアペ
シャン・デ・ヴィーニュ ジュランソン・セック/コアペ
セーヴ ドトンヌ ジュランソン・セック/コアペ
カンテサンス・デュ・プティ・マンサン/コアペ
ジュランソン・セック キュヴェ・マリー/クロ・ウロラ
レ・ジャルダン・ド・バビロン/ディディエ・ダグノー
ハッピー・アワーズ・フルーティー/シャルル・ウル