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モンバジャックは、最古の貴腐ワインの産地として名高い。リッチでボリュームのあるモンバジャックワインは、日本でも好評だ。
貴腐ワインの飲みごろは5~30年と言われるが、中には60年以上の長期熟成にも耐えるものもある。
貴腐ワインとしての美しさ
モンバジャックは、優れた貴腐ワインの産地として定評がある。貴腐ワインといえば、フランスのソーテルヌ、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、ハンガリーのトカイが世界三大貴腐ワインとして有名だ。
特に、ソーテルヌ地区には、貴腐ワインの王者として知られ、アメリカの第3代大統領トーマス・ジェファーソンが「フランス最高の白ワイン」と評したシャトー・ディケムが存在する。そんなソーテルヌのワインと比べても遜色ない味わいと言われるのが、モンバジャック産の貴腐ワインなのだ。
シャトー・ティルキュ・ラ・グラヴィエールの2003年のキュヴェ・マダムは、著名なワイン評論家のロバート・パーカーが大絶賛して大評判になった。
1935年にAOC認定されたモンバジャックの歴史はソーテルヌよりも古いのだが、かなり値頃感のある価格帯で手に入り、ワイン愛好家も納得のコスパの良さ。主にフランス国内で消費されているため日本では馴染みは薄いが、隠れた名品なのである。
貴腐ワインの起源には諸説あるが、いずれも何らかの事情で収穫が遅れたために貴腐化してしまったブドウを醸造したら出来上がったというもの。偶然によって生まれた奇跡のワインと言えるだろう。
白ワインとしての特徴
近年になって、甘口の白ワインの生産にも力を注ぐ。モンバジャックで生産される白ワインは、若飲みタイプから長期熟成型まで、個性豊かだ。
若いうちは生き生きと華やかで蜂蜜やアカシアのような濃厚な甘みが特徴的。熟成するとシナモンやナッツ、ドライフルーツのような香りが凝縮されボリュームのある上品な味わいを堪能できる。
特に10年以上寝かせると、リッチで芳醇な味わいに変化。見た目も、明るく輝く黄金色から美しい琥珀色へと変わりゆく。
生産されるワインには、2つのカテゴリー、「クラシック」モンバジャックと「セレクション・ド・グラン・ノーブル」モンバジャックがある。後者は、糖分が濃縮され、糖度は最低85 g/l以上。実際にはそれ以上のものも多く、少なくとも18ヶ月間熟成された白ワインが「セレクション・ド・グラン・ノーブル」と名乗ることを許されるている。食前酒、食後酒、デザートワインとして適している。
モンバジャックの気候・風土
モンバジャックは、フランス南西・ベルジュラック地方にある。ワインの名産地として知られるボルドーの近くにあり、ドルドーニュ川支流・ガルドネット川の東にある丘の上でぶどう栽培を進めている。
モンバジャックは5つの村で成り立つAOC。そのぶどう畑は、3つのゾーンに分かれていて、栽培地によって個性が異なる多彩な白ワインを生み出している。
ぶどう畑は北向きに作られ、秋の午後の日差しと朝方に発生する霧の影響を受ける。この朝と午後が交互に訪れる畑で育ったぶどうには、うまく貴腐菌(ボトリティス・シネレア)がつき、モンバジャックの個性的で独特な風味を持つようになる。
石灰岩と粘土質を含んだ土壌。ソーヴィニヨン・ブラン、ミュスカデル、セミヨンなどのぶどう品種を栽培している。中でも、モンバジャックではミュスカデルがよく育ち、ミュスカデルを多く使用したモンバジャックの甘口ワインは、軽やかで独特な風味をもっている。
丘陵地帯には、シャトー・ヴァリ、シャトー・ド・マルフーラ、シャトー・ティルキュ・ラ・グラヴィエールなど、さまざまなシャトーがあり、どのシャトーでもワインのテイスティングを受け付けている。
モンバジャックのおすすめワインと購入方法
シャトー・モンバジャック
歴史ある貴腐ワインの産地モンバジャックの甘口白ワイン。
蜂蜜のような甘味が驚くほどさわやかで、心地よい後味を楽しめる。
黄金色の見事なこのワインを口に含むと、リッチな果実が力強く爆発的に広がる。
フォアグラや熟成したハードチーズ、ブルーチーズなど、濃厚な料理によく合う。
フルーツベースのデザートを引き立てるだけでなく、自らデザートワインとして、料理の最高の締めを演出してくれる。
貴腐ワインらしい複雑な風味をもった大人の甘さのワインだ。
タイプ 白ワイン
生産者 シャトー
原産国/地域名 フランス モンバジャック
France Monbazillac
ブドウ品種 ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン
ヴィンテージ 2013年
内容量 750ml
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シャトー・クーテ キュヴェ・マダム
果実味と酸味のバランスが素晴らしい、フルボディの極甘口白ワイン。
その甘さは力強く、柔らかでしなやかな仕上がりの気品溢れるデザートワインだ。入手可能なモンバジャックワインの中で最高のワインとの評価を得ている。
ソーテルヌの世界最高級の貴腐ワイン「シャトー・ディケム」と比べても遜色ないと言われるほどの逸品がお手頃価格で楽しめる。
鴨レバーのクリームブリュレに合わせて飲むのもよし、デザートならライスプティングやレモンメレンゲパイのお供に飲んでも、素晴らしいひと時を提供してくれるだろう。
タイプ 白ワイン
生産者 シャトー・ティルキュ・ラ・グラヴィエール
原産国/地域名 フランス モンバジャック
France Monbazillac
ブドウ品種 ミュスカデル、セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン
ヴィンテージ 1996年
内容量 750ml
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コーディア
風味たっぷりで香り豊かなモンバジャックの極甘口白ワイン。
コーディア社の徹底した品質主義により絶大な評価を得ている崇高なワインだ。
黄金色に輝くこのワインは、濃厚な蜜の甘味と上質な酸味のバランスが非常に優れている。
しっかりとした甘さだが、甘すぎず、さっぱりと飲める。
パテにもよく合い、アペリティフやデザートワインとしても楽しめる。
貴腐ワインとしては、手頃な価格となっている。
飲み頃温度は6~8℃。十分に冷やしたグラスを片手に、モンバジャックの甘美な夜に浸ろう。
タイプ 白ワイン
生産者 コーディア
原産国/地域名 フランス モンバジャック
France Monbazillac
ブドウ品種 セミヨン種、ソーヴィニヨン・ブラン種
ヴィンテージ 2014年
内容量 750ml
モンバジャックワインの保存方法と楽しみ方
モンバジャックの甘口ワインを存分に味わうなら、8~12℃に冷やして飲みたい。小ぶりのグラスにすれば、より香りを楽しめる。
ベルジュラックもその名産地として知られるフォアグラを、テリーヌやフライパン焼きにして合わせると実に豪華だ。しっかりと酸味をもった甘いワインとこってりとした濃厚な旨みのフォアグラは、最高のマリアージュ。フランスのブルーチーズの最高峰とも言われるロックフォールのチーズも非常によく合う。
デザートワインとしても最適なモンバジャックの甘口ワインは、メロンやイチゴなどのフルーツベースのデザートや、ダークチョコレート、タルトタタンなどのスイーツと合わせてもまた違った味わいを楽しめる。
最適な保存条件
モンバジャックの素晴らしいワインを長く美味しく楽しむためには、最適な環境下での保存が欠かせない。
開栓前は、10〜15℃で温度変化の少ない場所に、直射日光を避けて保存。香りを損なわないよう、強い匂いを発するものの近くには置かないように。劣化を防ぐために、振動の多い場所も避けよう。できれば横に寝かせ、底を手前にして置くのがベストだ。
適切な場所が見当たらなければ、冷蔵庫の野菜室も可。開栓後は冷蔵庫に保存して、貴腐ワインなら1ヶ月ほど美味しく飲める。このときはこぼれないよう立てておき、ワインストッパーで酸化を防いでおけば、香り高いモンバジャックの甘口ワインをじっくり堪能できる。
特別な日のためのワイン
何か良いことがあったとき、自分にご褒美をあげたいとき、記念日をお祝いしたいとき、誰かを労いたいときなど、高級感の溢れるワインで、その特別な日を彩りたいと考える人は多いだろう。
ただ、あまり高価なワインには手が出ない、そんなとき、モンバジャックの貴腐ワインは、祝う人も祝われる人もともに満足させてくれるはずだ。高い評価を受けながらも、比較的リーズナブルな価格で提供されているモンバジャックの甘口ワイン。人生の記念日に甘美な幸せを添えてくれることだろう。