ロワール地方の赤ワインのAOCで、ロワール河中流のソーミュール地域に位置する。カベルネ・フラン種とソーヴィニヨン種から造られる。
このAOCは、ソーミュールの町に近い8つの村から成る小規模な地区で、畑は砂の台地と石灰土のチョークに覆われた丘にある。歴史も古く、畑の開拓者は、この地で歴史的に有名なクリスタル神父で、「クロ(石塀)・クリスタル」と名付けられた畑にその名を残している。1957年にAOC認定を受けた。
AOCに認定されている赤ワインはカベルネ・フラン種から造られており、AOCソーミュールと同じ品種を使うが、赤も白もワインは格上である。
このAOCの赤ワインは力あるフルボディあるいはミディアムボディで、滑らかで繊細なタンニンを持ち、酸味が比較的強い。
輝きのあるガーネット色がかった赤色の外観で、複雑な香りはスパイスや焦げたアロマがあり、赤い果実やスミレの花のニュアンスも感じられる。口の中に豊かさが広がるこのワインは、余韻は爽やかで調和がとれている。
良い年の赤ワインは香気溢れ、滑らかな喉越しがある。酸味が強い割にあまり長期熟成には向かず、5年程が飲み頃とされるが、中には10年程度の熟成を経ることで複雑さが増すものもある。
ロワールの中で近年最も人気が高くなっており、そのため価格も割高になりがちである。赤ワイン用ブドウの耕作面積はおよそ1,500ヘクタールである。
ソーミュール・シャンピニー地区の畑はテュフォーの小高い丘の上にあり、ロワール河中流地域の特徴ともいえる黄色がかった変成岩と砂でできた土壌である。この水はけの良い土壌によって良質のワインが造られる。
穏やかな海洋性気候とミクロクリマの影響を受け、夏は格段に暑いことから「燃えるような畑」を意味するラテン語に由来するAOC名がつけられたとされる。
この地ではAOC認定は受けていないがシュナン・ブラン種から白ワインも造られており、鮮やかな黄金色の辛口で、味わいはボディがあり、酸味のバランスがよく爽やかである。多くは若飲みタイプだが、10年以上の長寿なものもある。