マインドライエックの気候・風土
バイエルン州にあるフランケン地方。あの有名なフランクフルトの東側に位置するエリアで、さらに細かく9つに別れている。その中でワインづくりで著名なのがマインドライエック、シュタイガーヴァルト、マインフィアエックの3エリア。その中でもマインドライエックのワインは一番の出来と評価され、フランケン地方の中で最も評価が高い。
マインドライエックをはじめとするフランケン地方は丘陵地帯が続く。そこをジグザグに流れるマイン川の支流沿岸の斜面でぶどう栽培が行われている。「ぶどうの王様」とも呼ばれるシルヴァーナーやミュラー・トゥルガウといった品種が主に栽培されている。
気候は典型的な大陸性気候。寒暖の差が激しく、特に寒い日が多い。夏のほんの一時期を除いて霜害に悩まされるなど、ぶどう樹栽培には苦労が絶えない。
また、土壌は石灰岩層がベース。さらに三畳紀につくられたとされる土壌は、貝殻石灰岩や彩色砂岩などが多く見られ、固くゴツゴツとしている。
決してぶどう樹栽培に適しているとは言い難いが、厳しい環境で育った分、果実の旨みが凝縮されるようだ。
マインドライエックのワインの特徴
フランケン地方の良いワインはマインドライエックに集中していると言われ、非常に評価が高い。ミネラルが豊富な土壌で育まれたワインは、非常にスパイスが効いている。
どちらかというと、アロマよりも口当たりが印象に残るワイン。ガツンとくる非常に男性的な辛口ワインではあるが、不思議と飲みやすい。非常に個性的であるため、固定ファンが多いようだ。
個性的なのはワインだけではない。フランケン地方で生産されているワインボトルも他にはない形をしており、「ボックスボイテル」と呼ばれている。なんと、「山羊の陰嚢」という意味なのだ。他のワインボトルのように背が高くなく、ブランデーのように横に丸みを帯びているだるま型の姿は、一度見ただけで記憶に残る。
エピソード
フランケン地方の中でも銘醸地が密集しているマインドライエック。その中心地・ヴュルツブルクは国内でも有数のぶどう畑と評されている。
ドイツの詩人・ゲーテもマインドライエックのワインファンだったと言われている。彼も個性的なテイストの虜となった。1806年、妻宛ての手紙の中で「お気に入りのワインを切らすと不機嫌になる。だから送ってほしい」と言っているほどだ。
ゲーテが愛したワインと同じものを嗜む……。なかなかロマンのある話である。
マインドライエックの代表的なワイン
ビュルガーシュピタール/ヴュツブルガー プファッフェンベルク シルヴァーナー カビネット トロッケン