ベルンカステルの気候・風土
ベルンカステル(Bernkastel)は、ドイツ・モーゼル川流域のワイン生産地だ。最下流のツェルから少し上流に入った中流地域が該当する。ベルンカステル市を中心とした、ルーヴァー川との合流地点手前までの範囲となる。著名なワイン生産拠点としては、ベルンカステルのほかヴェーレンやブラウネベルクがある。
土壌は石灰岩が風化したスレート岩盤のものだ。気候は年中通して温暖で、年間降雨量は800mmほど。土中の豊富なミネラルと穏やかな気候がぶどうに味わいを与える。
また、この地域の特徴として、ぶどう畑のある斜面の勾配が非常に険しいことがあげられる。なかには60度を越す急斜面もある。
栽培されるぶどうは、その半数以上がリースリングとなっている。ほかにはミュラー・シュガウ種などもつくられているが、ほとんどが白ワイン用のぶどうとなっている。
ベルンカステルのワインの特徴
ベルンカステルをはじめとするモーゼルにおいては、つくられるワインのうち9割以上が白ワインとなっている。
モーゼル川流域の生産地においては甘口の白ワインを生産しているところもあるが、ベルンカステルにおいては辛口の白ワイン、トロッケンが多い。
中でも、ベルンカステル市のドクター・ターニッシュによるものが有名だ。リースリングによる、かぐわしいアロマと酸、ミネラルのバランスの取れた味わいのワインとなっている。
その他には、「日時計」という意味の高級畑ゾンネンウーアや、同じく「乙女の日時計」という意味のブラウネベルク村の畑、ユッファー・ゾンネンウーアでつくられるものも有名。中でもフリッツ・ハーク醸造所やシュロス・リーザー醸造所によるワインがよく知られている。
一押しのワイナリー/当たり年
ベルンカステル(Bernkastel)の生産者のうち、各方面にて高い評価を得ている作り手として、ドクター・ターニッシュ(Dr.Thanish)、J.J.プリュム(J.J. Prum)、リヒト・ベルクヴァイラー(Licht Bergweiller)、ヴァイングート(Weingut)、ウィリ・ハッグ(Willi Haag)、ドクター・ローゼン(Dr. Loosen)、S.A.プリュム(S.A. Prum)などが挙げられる。
ドイツ・モーゼル地方のワインは2008年、2007年、2004年、2003年、2002年、2001年、1998年、1996年、1994年、1993年、1989年、1988年の出来が良いと評価される。ベルンカステルワインは1000円台からあるが、有名な作り手のものには5000円以上の価格・値段のものもある。
エピソード
ベルンカステルのワインとして特に有名なドクトールの畑は、かつてのトリアーの選帝侯、ベームント2世の病を治したワインとして知られる。その功績をたたえ、畑に「医師」という名前を与えられた。現在はターニッシュ博士家(ドクター・ターニッシュ)がこの畑を所持している。
また、ゾンネンウーアの「日時計」とは、著名な生産家のプリュム家がヴェーレンと、下流のツェルティンゲンの町に日時計を作ったことに由来する。
ベルンカステルの代表的なワイン
ベルンカステラー・ドクトール・カビネッシュ / ドクター・ターニッシュ
ベルンカステラー・ドクトール リースリング シュペートレーゼ トロッケン / ドクター・ターニッシュ
ブラウネベルガー・ユッファー・ゾンネンウーア・リースリング・シュペートレーゼ / シュロス・リーザー