気候・風土
バルベーラ・ダスティ(Barbera d’Asti)は、ピエモンテ南部のワイン生産地だ。もともとはD.O.C.だったが、品質を認められ2008年にD.O.C.G.に昇格した。ソットゾーナとしてニッツァ、ティネッラ、コッリ・アスティアーニの3つがあり、それぞれに風味が異なる。
トリノの東にあるアスティの町周辺が該当する。生産地区分は近隣のバルベーラ・デル・モンフェラートと入り組んでおり、一部重複するところもある。ぶどう畑の標高は100~350m程度。
土壌は粘土石灰質。気候は温暖湿潤気候に属する。年間降雨量は750mm程度で、春季と秋季の雨量が多い反面、夏季は気温が高く乾燥している。
栽培されるぶどうは、ピエモンテの固有品種バルベーラが主となる。その他にはフレイザ、ドルチェット、グリニョリーノといったぶどうが混醸用に栽培されている。これらのぶどうも全てピエモンテの土着品種だ。
ワインの特徴
赤ワインに含まれるぶどうの割合については、85%以上がバルベーラ、残りにはフレイザ、ドルチェット、グリニョリーノの混醸が認められている。
チェリーやプラム、スミレといったアロマに、強い酸味を持つのがバルベーラの特徴。単一品種によるワインではタンニンはあまり感じられないが、ドルチェットやネッビオーロなどと混醸し、長期熟成することでほどよいタンニンを獲得する。
長期熟成のスペリオーレワインもある。こちらは12ヶ月間(樽熟成6ヶ月間)を要する。
一押しのワイナリー/当たり年
ピエモンテ州南部で作られるバルベーラ・ダスティ生産者のうち、各方面にて高い評価を得ている作り手として、ヴィエッティ、ミケーレ・キアルロ、ラ・スピネッタ、ナターレ・ヴェルガ、トリンケーロ、ベルテッリ、デッツァーニ、カスティーノなどが挙げられる。バローロなど高級ワインで実績のある作り手も多く、同じ作り手の手掛けたワインを安い価格・値段で入手できることが多いため、人気が高い。
ピエモンテ産ワインの当たり年は2008年、2007年、2006年、2005年、2001年、2000年、1999年、1998年、1997年、1996年とされる。
エピソード
かつてはテーブルワインとして親しまれていたバルベーラだが、この地にバリックを導入したブリッコ・デッルッチェッローネなどの尽力により再評価された。1980年代よりその価格が高騰。ミケーレ・キャルロ社などのワインが専門誌において高い評価を獲得したこともある。現在はバローロやバルバレスコに劣らぬ高価なものも存在する。
代表的なワイン
バルベーラ・ダスティ・ヴィーニャ・デル・ノーチェ / トリンケーロ
バルベーラ・ダスティ・スペリオーレ・テッラ・デル・ノーチェ / トリンケーロ
レ・オルメ バルベーラ・ダスティ・スーペリオーレ / ミケーレ・キャルロ
ラ・コルト バルベーラ・ダスティ・スーペリオーレ・ニッツァ / キャルロ
モンテトゥーザ バルベーラ・ダスティ 2009 / ベルテッリ
サン・アントニオ ヴィエイユ・ヴィーニュ バルベーラ・ダスティ 2004 / ベルテッリ
バルベーラ・ダスティ / ブリッコ・デッルッチェッローネ