イタリアのピエモンテ州にあるバローロ(Barolo)村で、ネッビオーロというぶどう品種を使ってつくられる赤ワイン「バローロ」。長期熟成に耐える重厚な味わいのワインに仕上がる。
イタリアを代表する高級赤ワインのバローロは「ワインの王様」とも呼ばれ、「ワインの女王」と呼ばれるバルバレスコと並び称される。
ワインの特徴
DOCG規格のワインの中でも、バローロは「ワインの王様」として最上級の評価をされている。
バローロ村周辺では野生の獣や野鳥がよく捕れるため、肉料理に合うその重厚かつ柔らかな飲み口と高いアルコール度数は正に「王様」といった風格が漂う。
色は濃いルビー色をしており、野生の花を思わせる香りと深いタンニンの味わいは、ネッビオーロ種を何年も熟成することによりその味が完成される。
しかし、バローロの知名度が上がるにつれて生産業者も増え、その品質にはバラつきが見られるようになってもいる。
選び方/価格
安いものでは3000円前後の価格から販売されているバローロ。おおむね1万円未満で購入できるが、つくり手やヴィンテージによっては数万円の価格になるものもある。
同じ「バローロ」でも、つくり手によって個性は大きく異なる。伝統的な手法で醸造する伝統派、ブルゴーニュの技術を採り入れたモダンスタイル、その両者を折衷したつくり手がいる。
一般的に伝統派のバローロは酸味やタンニンがしっかりしているのに対して、モダンスタイルのバローロは果実味豊かで熟成期間が短めでも楽しめるワインだ。
バローロの選び方としては、こうした生産者の違いによって味わいが大きく異なることを踏まえ、自分好みのつくり手を見つけ出すことが大切だろう。
おすすめワイン
バローロ ガレッティ / ラ・スピネッタ
モダンバローロをリードするジョルジュ・リヴェッティ氏が率いる「ラ・スピネッタ」が手掛けるバローロ。「ワインづくりの90%は畑に、10%はセラーにある」という信条からか、従業員の9割近くが畑仕事に従事する。
こちらのバローロ ガレッティは、8000円前後で購入できる比較的手頃なラ・スピネッタのバローロ。トップキュヴェの「バローロ カンペ」と同じ畑のぶどうを使用するが、カンペの方がより上質なぶどうを使っている。
2006年のヴィンテージはパーカーポイント91点を獲得した。
バローロ ブッシア / プルノット
イタリアの名門ワインメーカー「アンティノリ」傘下のワイナリー「プルノット」がつくるバローロ。プルノットは伝統派とモダンのいいとこ取りをするつくり手だ。
こちらのバローロ ブッシアは、バローロの中でも優れたぶどうが採れると評判のブッシアの畑で採れたぶどうを使って醸造する。価格は1万円前後。
バローロ モンプリヴァート / ジュゼッペ・マスカレッロ
伝統派のバローロをつくる「ジュゼッペ・マスカレッロ」は1881年からワインづくりを続ける老舗ワイナリーだ。
高品質なぶどうを収穫するため、定期的にぶどう樹を取り除いて土を休ませ、十分な品質に達しないぶどうはワインづくりに利用しない。
こちらのバローロ モンプリヴァートは、バローロでもトップクラスの畑、モンプリヴァートのぶどうを使用している。数万円程度の価格を覚悟する必要がある高級バローロだ。
一押しのワイナリー/当たり年
バローロの生産者のうち、各方面にて高い評価を得ている作り手として、ジュゼッペ・マスカレッロ(Giuseppe Mascarello)、フォンタナフレッダ(Fontanafredda)、プルノット(Prunotto)、ドメニコ・クレリコ(Domenico Clerico)、ヴィエッティ(Vietti)、バルトロ・マスカレッロ(Bartolo Mascarello)、ブリック・チェンチウリオ(Bric Cenciurio)、ダミラノ(Damilano)、フランチェスコ・リナルディ(Francesco Rinaldi)、ジャコモ・ブレッザ(Giacomo Brezza )、ジョヴァンニ・カノニカ(Giovanni Canonica)などが挙げられる。
ピエモンテのワインは2008年、2006年、2005年、2001年、2000年、1999年、1998年、1997年、1996年、1990年、1989年、1988年、1986年、1985年の出来が良いと評価される。バローロのワインは3000円から8000円くらいの価格・値段で販売され、有名な醸造家のワインは数万円のものもある。
気候・風土
イタリアのピエモンテ州にあるバローロ村は、白トリュフで有名なアルバに近い。渓谷・丘陵地帯で、この地域特産のネッビオーロ種を栽培している。
近くにはタラノ川が流れ、三方をアルプス山脈に囲まれた特有の地形がぶどう栽培に適した環境をつくり出し、最高級のイタリアンワインとして君臨する名ワインを生み出し続けている。
バローロに関するエピソード
バローロワインには一口に語り尽くせないさまざまな特徴がある。まずはぶどうが栽培される地形により、ワインの特徴が二分される。セッラルンガ渓谷で作られるワインは重く重厚で熟成期間も長く、バローロ丘陵で作られるワインは柔らかく華やかさがあり、熟成も早いのだ。
さらに製法によっても違いがある。昔ながらの樽でつくられた伝統派の「クラシックバローロ」と小さな樽で早期熟成を可能にしたモダンスタイルの「モダンバローロ」が混在しており、フレッシュな果実味の残るモダンバローロが主流となりつつある。
かつての重厚なワインが真のバローロとする声と、現在主流のフルーティーなバローロを支持する声とで二分され「バローロ戦争」と呼ばれる様相を呈しているが、特徴に違いはあってもどちらも人気のワインであることに変わりはない。