山形県東置賜郡高畠町には高畠ワイナリーがある。このワイナリーは2013年の国際ワインコンクールで、スパークリング部門とロゼワイン部門の両方で金賞を受賞している。
ブドウ栽培の歴史は、明治10年、時沢村(現・高畠町時沢)での欧州種ブドウの栽培に始まり、その後明治40年に山梨から移植されたデラウェアの栽培の成功で、高畠がブドウ栽培の適地であることが実証され以来、日本一のデラウェア産地として広く知られるようになった。
ワイン用のブドウの栽培には「気温の寒暖の差が大きいこと」「水はけが良い」「雨が少ない」「日照時間が長い」など、いくつかの環境的条件があるが、湿気が多く、ブドウが開花する6月や収穫期の9月に雨が多い日本には、この条件に適した産地は少ない。
高畠は、この条件を満たす自然環境と高畠石に支えられたミネラル豊富な土壌に恵まれ、良質なブドウ産地として広く知られている。
南向きの斜面に広がるブドウ畑の地面から所々に顔を覗かせる高畠石は、高畠のブドウ畑独特の風景である。ミネラルを豊富に含み保湿機能調整に優れた高畠石には、水質改善や土壌改良に用いられるゼオライトが豊富に含まれていることが分かった。良い環境とミネラル豊富な土壌に育まれたブドウは、病害虫にも強く、良質な成分をしっかりと吸収する。
高畠ワインの契約栽培農家は約50軒で、栽培しているのは、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、マスカット・ベーリーA、ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ブラン、デラウェアなど11種類である。生食用ブドウ栽培の経験を生かすために平棚式に、そして良質な土壌を守るために減農薬での栽培を心がけている。また、シャルドネのスパークリングワイン、マスカットベーリーAを使ったロゼワインは、国産ワインコンクールで金賞を受賞した。