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フォーティファイドワインの意味/解説
フォーティファイドワイン(fortified-wine)とは、ワインの醸造過程でアルコール(酒精)を添加して、アルコール度数を高めたワイン。酒精強化ワインとも呼ばれる。
ワインは醸造方法によって、スティルワイン、スパークリングワイン、フォーティファイドワイン、フレーヴァードワインの4つに分けられる。
フォーティファイドワインに使用される添加アルコールは、ワインと同じく、ぶどうを原料にしたブランデーが多い。
添加アルコールの度数は40度以上あり、普通のワインのアルコール度数が12度前後なのに対し、フォーティファイドワインのアルコール度数は18度前後にまで高まる。
液中のアルコール分が一定量を超えると酵母が働かなくなり、アルコール発酵が止まる。それによってワインの味わいや保存性が高まる効果もある。
世界3大フォーティファイドワインは、スペインのシェリー、ポルトガルのポートワイン、マディラワイン。
フォーティファイドワイン、その製造方法は?
かなりのワイン好きでなければ、「フォーティファイドワイン(fortified wine)」という言葉を聞き慣れていないのではないだろうか。
それでも、多くの人はポルトガルの「ポートワイン」やスペインの「シェリー」といったお酒の名前は聞いたことがあるはずだ。ポートワインやシェリーは、フォーティファイドワインの代表格。この2つにポルトガル・マデイラ島の「マデイラ」を加えた3つのワインのことを「世界3大フォーティファイドワイン」と呼んでいる。
フォーティファイドワインの語源を考えると、「fortified(=fortify)」には「〈酒などに〉アルコールを加えて強くする; (ビタミンなどを加えて)〈食品の〉栄養価を高める」(研究社 新英和中辞典)などの意味がある。
単語の示す意味のとおり、フォーティファイドワインは醸造過程でアルコール(酒精)を添加して製造するので、アルコール度数が高いという特徴がある。「酒精強化ワイン」とも呼ばれるのは、それが理由だ。
40度以上のアルコールを添加するため、普通のワインではアルコール度数が12度前後なのに、フォーティファイドワインでは18度前後にまで上昇する。添加するアルコールとしては、ワインと同じぶどうを原料にしたブランデーを利用することが多い。
酒精強化のタイミングで甘さをコントロール
フォーティファイドワインは酒精強化する際、アルコール分が一定量を超えて酵母が働かなくなり、アルコール発酵が止まることになる。
その結果、アルコール発酵に伴う糖の分解も止まるため、通常のワインよりも糖を残すことができる。つまり、酒精強化のタイミングによって甘さをコントロールできるのだ。
発酵の早いうちにアルコールを加えると糖分が多く残るため甘口に、発酵後に加えると辛口に仕上がる。フォーティファイドワインには甘口から辛口までつくり手によって幅があり、多くの人が楽しめるワインだと言えるだろう。
スペインやポルトガルが本場になったのはなぜ?
先にも紹介したとおり、シェリー、ポートワイン、マデイラワインが「世界3大フォーティファイドワイン」と称されている。スペインやポルトガルが主な産地だ。
スペインやポルトガルから3大フォーティファイドワインが生まれたのは、両国の気候に原因がある。イベリア半島は気温が高く、ワインの保存が難しい。そこで腐敗を防ぐために、アルコール度数を高めたフォーティファイドワインが生み出されたと言われている。
3大フォーティファイドワインの特徴は
シェリー
3大フォーティファイドワインのうち、シェリーの主な生産地は、イベリア半島南部、スペインのアンダルシア州カディスにあるヘレスだ。ヘレス・デ・ラ・フロンテラ、エル・プエルト・デ・サンタ・マリア、サンルーカル・デ・バラメダという3つの街を結んだ地域を「シェリーの三角地帯」と呼び、この地域でパロミノ、ペドロ・ヒメネス、モスカテルといったぶとう品種を使ってつくったものだけが「シェリー」と名乗ることができる。
使用するぶどう品種や製造方法の違いなどにより、「フィノ」「マンサニーリャ」「アモンティリャード」「オロロソ」「パロ・コルタド」「ペール・クリーム」「ミディアム」「クリーム」「モスカテル」「ペドロ・ヒメネス」などのタイプがある。
ポートワイン
ポートワインは、ポルトガルのドウロ川上流にあるドウロ地方でつくられている。
ポートワインには、「ルビーポート」「トウニーポート」「ホワイトポート」といったタイプがある。ルビーポートは、最も一般的なポートワインで甘口。2~3年ほどの熟成期間を経て出荷されることが多い。ホワイトポートは、白ぶどう品種からつくられるポートワイン。トウニーポートは、ルビーポートを樽の中で長く熟成させたものとなっている。
マデイラ
マデイラは、ポルトガルのマデイラ島でつくられている。醸造方法の特徴として、酒精強化に加えて、太陽熱を利用した「カンテイロ」か、加熱タンクを使う「エストゥファ」という加熱処理を経ることが挙げられる。
マデイラには、色による分類や、原料と醸造方法による分類、甘さによる分類がある。醸造方法によってはタイプが分かれ、「フラスケイラ」「コリエイタ」「リザーブ」などと呼び分けられる。甘さによる分類については、セコ(辛口)、メイオ・セコ(中辛口)、メイオ・ドセ(中甘口)、ドセ(甘口)といった分け方になる。