貴腐ぶどうの意味/解説
貴腐ぶどうとは、白ワイン用品種のぶどうが貴腐化したもの。
貴腐化とは、収穫間近のぶどうに付着するポトリティス・シネレアというカビに感染することによって、糖度と芳香が高まる現象のこと。
水分が失われ干しぶどうのようになった貴腐ぶどうは、凝縮された果汁の甘味と芳醇な香りが特徴。これをもとに製造されるワイン(貴腐ワイン)は、通常の甘口ワインよりも糖度が高い超甘口ワインとなる。
貴腐化するには、一定の湿度や気候などの自然条件を整える必要があり、それらのバランスが崩れると「灰カビ病」という病害にかかってしまう。このため、製造には高い技術が必要となる。
貴腐ぶどうは、17世紀半ばのハンガリー・トカイ地方で、オスマン帝国の侵略により収穫が遅れたために偶然生まれたと言われている。
貴腐ブドウの「貴腐」は、ハンガリー語でネメシ・ロトゥハダーシュ、フランス語ではプリテュール・ノブルと言われ、「高貴なる腐敗」という意味。
日本語はその直訳で、腐敗したように見えるブドウの外見からは想像できないほどの芳香と風味を醸し出すことを表している。