ワインにスパイスやハーブなどの蒸留酒や浸出液を加えたり、果実や蜂蜜などを漬け込んだりしたものをフレーバードワインと言う。別称アロマタイズドワイン、香味付けワイン、混成ワイン。食前酒として飲まれたり、カクテルの材料として用いられたりする。
薬草系ではイタリアやフランスのヴェルモットが有名。ヴェルモットは白ワインをベースとして、ニガヨモギをはじめ数十種類のスパイスやハーブを配合して造られる。
甘口のスイート・ヴェルモットと辛口のドライ・ヴェルモットがあり、前者はイタリアのピエモンテ地方などで主に造られていたためイタリアン・ヴェルモットとも呼ばれる。ハーブの風味が強く、多くはカラメルで着色してあるので淡褐色であることが多い。チンザノ社やマルティーニ社のものが有名である。
後者のドライ・ヴェルモットは主にフランスで造られたためフレンチ・ヴェルモットとも呼ばれ、フランス南部のエロー県マルセイランで生まれたノイリー・プラットが有名である。ノイリー・プラットは現在ではブランド名となっているがかつては社名であり、現在はマルティーニ社に買収されて以降ブランド名として名前が残っている。ノイリー・プラットのほとんどが無色であり、赤いものや琥珀色のノイリー・プラットもあるがあまり知られていない。
果実系ではスペインのサングリアが有名。サングリアは赤ワインをソーダやオレンジジュースで割って、レモンやオレンジ、リンゴといった果物とシナモンを少々加えた飲み物。ラム酒や佐藤を加えることもある。既製品も多く出回っているが、スペインの家庭では安価なワインを用いて手作りをすることも多い。赤ワインの代わりに白ワインを使ったものはサングリア・ブランカと呼ばれる。またスペイン北部では桃やネクタリンを使ったスーラと呼ばれるサングリアもある。