特徴・ポイント
バロン・フィリップ・ド・ロートシルト/ロスチャイルド(Baron Philippe de Rothschild)は、5大シャトーの1つ「シャトー・ムートン・ロートシルト(ロスチャイルド)」を擁するボルドーワイン界の最大手。ボルドーで長年培ったワイン醸造技術を生かして、カリフォルニアなど他地域でのワインづくりにも挑戦。次々に成功を収めている。
ワインづくりのこだわり
ワインの熟成や瓶詰めをボルドーの酒商に任せるという慣習を捨て、シャトーで瓶詰めまで行う元詰め方式を採用。これによって独自の味を確立し、売上を拡大させた。
代表的なワイン
シャトー・ムートン・ロスチャイルド
メドックの格付け150年以上の歴史の中で、唯一昇格が認められたシャトーワイン。当初の格付けは2級だったが、1973年に1級に見直され、ボルドー5大シャトーの仲間入りを果たした。
オーパス・ワン
カリフォルニアワイン界の巨匠との協力によって生み出されたプレミアワイン。重力を利用して果実やワインを移動させるシステム「グラヴィティ・フロー」など、徹底した品質管理のもとで醸造・出荷されている。
ムートン・カデ
悪天候のためぶどうが熟成しなかった1930年、そのぶどうを用いたワインを廉価で販売したのがムートン・カデの始まり。現在では150カ国で販売され、世界で最も愛されるボルドーワインの一つに成長した。
ワイナリーの歴史
経営の危機に瀕していた父・アンリ所有のシャトーがフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵に任された1922年、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドが始動した。
フィリップ男爵はシャトーの経営を任されると、ボルドーの酒商にワインの熟成から瓶詰めまでを委ねていた従来の慣習を刷新。シャトーで瓶詰めまで行う元詰め方式に変更することで、売上を少しずつ伸ばしていった。
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドの代表作「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」は、1855年以来、2級と格付けされていた。だが、フィリップ男爵の懸命な努力の結果、シャトー・ムートン・ロスチャイルドは1973年に1級への昇格を認められた。
このときフィリップ男爵が残した「われ1級なり、かつて2級なりき、されどムートンは変わらず」という言葉は、ワイン界屈指の名文句として後世に伝わっている。