特徴・ポイント
1883年にボルドーで設立された老舗ワイナリーだ。ボルドーワインの取引における有力企業で、世界50カ国とワイン取引を行い、国内外70カ所以上の地域で営業販売ネットワークを構築している。名門「シャトー・パルメ」を所有していることでも知られる。
ワインづくりのこだわり
「ワインは常にテロワールを表現する、しかしその品質は醸造と熟成にかけた情熱が左右する」という信念の下、自社ワイン醸造庫で顧客のリクエストにあわせたワインつくりを行っている。50軒におよぶ厳選されたぶどう栽培家からぶどうを購入し、高い生産技術で品質を保証している。
代表的なワイン
シリウス(赤)
格付グラン・クリュ(特級畑)と同等の伝統法で醸され、デイリーワインながら高品質を誇るメゾン・シシェル(Maison Sichel)の主力ブランド。果実や樽香、スパイスが感じられるバランスの取れたワインで、デカンタージュをすればより華やかになる。長期熟成にも絶える丁寧なつくりで、2011年の『バリュー・ボルドー』にも選ばれている。
シシェル・ポイヤック
ポイヤックの1級シャトーのバレル落ちワインをそのままボトル詰めしたとされる赤ワイン。ポイヤック1級シャトーとは、「シャトー・ムートン」「シャトー・ラフィット」「シャトー・ラトゥール」の3つであり、どれも最高級ワインをつくる超名門シャトーだ。どのワインが詰められているかは毎年変わり極秘とされているが、最高級ワインの片鱗がリーズナブルに楽しめるとあって「知る人ぞ知るワイン」と呼ばれる。
ソーテルヌ・シシェル
ワインの生産者は伏せられているが、高名な「シャトー・ディケム」の実質的なセカンドワインと言われており、極上の甘みの中に酸味がバランスよく広がるリーズナブルな貴腐ワインと名高い。
ワイナリーの歴史
1883年にボルドーで設立されたメゾン・シシェルだが、その起源は1856年にヘルマン・シシェル氏がドイツにてワイン取引業を開業したことに始まる。
シシェル家は、ヨーロッパ全域でグローバルな活動に取り組んでおり、メゾン・シシェルもシシェル一族によって経営されている。
1938年、アラン・シシェル氏が「シャトー・パルメ」の所有権を取得すると、ワイン生産にも事業を拡大。その後もシャトーを買収し、現在は4つのシャトーを所有する。名門とされる「シャトー・パルメ」だが、当時は荒廃しており、メゾン・シシェルが多額の投資を行ってその名声を復活させた。
1961年に、ピーター・A・シシェル氏がジロンド県の中心都市ボルドーに組織本部を置くと、さらなる事業拡大に踏み切った。1967年には、醸造庫「カーヴ・ベレール」を建設し、ボルドーで初めて自社醸造庫の建設・整備を行う。1985年にはパッケージング設備子会社「SICSOE」を設立するなどして、メゾン・シシェルは巨大ワイナリーとして成長していった。
現在は、シシェル家6代目が経営を指揮し、2013年には「カーヴ・ベレール」を拡張再整備するなどその勢いは衰えていない。