フランス東部の内陸に位置するワイン産地、ブルゴーニュ。そのワインは力強さの中に繊細さを併せ持ち、「ワインの王」と称えられる。このブルゴーニュ地方の最北に位置するワイン生産地がシャブリだ。北緯48度にあり、これは樺太とほぼ同緯度にあたる。

シャブリに分類される生産地は、シャブリ・グラン・クリュ、シャブリ・プルミエ・クリュ、プティ・シャブリ、イランシー(イラシー)の4箇所。これらの生産地はその土壌・品質によって分けられ、最高クラスの特級がシャブリ・グラン・クリュとなる。

なかでも、シャルドネ種100%でつくられる シャブリ・グラン・クリュの白ワインが有名。ステンレスタンクによる熟成のものが多いため、他の地域の白ワインのようなオーク樽のアロマが少ない。赤ワインは、古くから生産が行われてきたイランシーのピノ・ノワール種によるものがある。

【シャブリ地区の主な生産地】

<シャブリ・グラン・クリュ>
白ワインのAOC。シャブリ地区の中でも、歴史ある高名な畑に与えられる。シャブリ地区は世界的な白ワインの産地として名高いが、AOCシャブリ・グラン・クリュはその中でも最良とされる(特級)。中でもシトー会の修道士が最初に開拓した畑、レ・クロが非常に有名。シャルドネ種からつくられる白ワインは酸味が強いのが特徴。

<シャブリ・プルミエ・クリュ>
シャブリ・グラン・クリュに次ぐ高品質(1級)の白ワインAOC。こちらもシャルドネ種100%によってつくられ、この地域には約40近くのクリマ(区画)が該当する。
シャブリ・グラン・クリュと同じく、小さな牡蠣の化石が無数に埋もれたキンメリジャンという土壌が特徴。これは、かつてこの地が海底だったことに由来する。

<プティ・シャブリ>
上記2地域の範囲外、キンメリジャン土壌でない地域が該当する白ワインAOC。つくられるワインは若飲みタイプの軽やかなものが多い。品質については近年の生産技術の向上により、良質なものが増加傾向にある。

<イランシー(イラシー)>
シャブリ地区の南西に隣接する、シャブリ唯一の赤ワインのAOC。ピノ・ノワール種の他、土着品種のセザール種を10%まで混醸することが認められている。ブルゴーニュ地方の赤ワインとしては比較的軽めの味わい。若飲みタイプのワインが多い。