スペインは、フランス、イタリアに次ぎ、世界第3位の生産量を誇るワイン大国だ。一般的にはテンプラニーリョ種を使った赤ワインやヴェルデホ種を使った白ワインが有名。それ以外にも様々な地域で、地ぶどうなどを使ったワインが数多く生産されている。スティルワインの他、酒精強化ワインのシェリー、カタルーニャ地方の発泡ワインであるカヴァも有名だ。

カスティージャ・ラ・マンチャはスペインの首都マドリッドの東に位置する大きな地域だ。大陸性気候の強い影響を受け、日中から夜にかけて、また夏から冬にかけて、気温は劇的に変化する。

この地方には、アルマンサ、カスティージャ、バルデペニャス、メントゥリダ、モンデハール、ラ・マンチャという生産地がある。

このカスティージャ・ラ・マンチャでは、スペインワイン全体の3分の1が生産される。

センシベル(テンプラニーリョ)やモナストレルを使った赤ワイン、アイレンを使った白ワインが多い。以前はバルクワインも多かったが、最近では高級ワインも産出されている。

【カスティージャ・ラ・マンチャの主な生産地】

<アルマンサ>
アルマンサは、標高700m以上の高度が高い場所でぶどうを栽培している。大陸性気候で寒暖差があり、年間の降水量は少ない。
この気候を生かし、モナストレル、センシベル、ガルナッチャ・ティントレラなどが栽培され、フルボディの骨格のあるワインが醸造されている。ヴェルデホを使用した白ワインも評判が良い。

<カスティージャ>
カスティージャはマドリッドの南東に位置し、大陸性気候の影響を受ける場所。メセタの平原に広がるぶどう畑はスペイン最大だ。
白ワインの生産が多く、アイレンを使ったすっきりと優しい味わいが特徴だ。赤ワインの生産も増えてきており、マイルドで優雅なテイストのものが多い。

<バルデペニャス>
バルデペニャスはラ・マンチャ平原の南に位置し、寒暖差が大きい。カスティージャ・ラ・マンチャ地方のなかでも、高品質のワインを生産する産地だ。
生産量の85%は白ワインだが、有名なのはセンシベルを利用した赤ワインで、繊細かつエレガントな深みのある味わいのものが多いと評価が高い。

<メントゥリダ>
メントゥリダはマドリッドの南、トレドの北に位置する生産地。小高い丘にぶどう畑が連なる。降雨の少ない乾燥した土地のため、病害虫の心配がなく、農薬を使用しない有機農法の畑が多い。
ガルナッチャ(グルナッシュ)が多く栽培され、それを使用した赤ワインの生産がメインだ。

<モンデハール>
モンデハールはマドリッドの東に位置し、海抜800mほどの高地にぶどう畑が広がる。年間の降雨量は少なく、夏と冬の寒暖差が非常に激しい。
この地ではセンシベルやカベルネ・ソーヴィニヨンを使った、しっかりとした味わいの赤ワインが生産される。

<ラ・マンチャ>
ラ・マンチャは降雨量が少なく、長い夏季には雨がほとんど降らない。カスティーリャ高原の南部にあたり、年間を通じて冷涼な気候だが、日照量は十分なため熟したぶどうができる。
白、赤共に生産しており、個性的な味わいのワインが多い。

<マンチュエラ>
かつてはDOラ・マンチャに属していた地域。海抜600〜700mの土地にぶどう畑が広がり、乾燥しているが地中海からの風を多く受け気候は温暖だ。
生産されるワインはほとんど赤ワインで、土着品種のボバルが多く使われる。またセンシベルを使った熟成タイプのワインも作られ、モナストレル、ガルナッチャ、カベルネ・ソーヴィニヨンなどはブレンドに使われる。

<リベラ・デル・フーカル>
リベラ・デル・フーカルは、東にマンチュエラと隣接し、かつてはマンチュエラと同様にDOラ・マンチャに属していた。大陸性気候と地中海の影響を両方受け、夏の昼夜の寒暖差が激しく、ぶどうが良く熟する。
センシベルを使用した赤ワインがメインで、他のラ・マンチャ産よりも高品質と評価される。

<ウクレス>
ウクレスはラ・マンチャの北部、マドリッドの東に位置し、2005年にDO指定された。大陸性気候だが、イベリア平原の夏の猛暑は高度により和らぎ、それがぶどうの出来にも良く影響している。
センシベルを使用した赤ワインが有名で、早飲みタイプと熟成タイプの両方が生産される。