サン・エシドロ・ディストリクトの気候・風土
サンフランシスコの南、太平洋岸のモンテレー湾とポイント・コンセプションの間の海岸部にあるセントラルコーストエリア。複数のAVAが混在する地域に位置するサンタクララ郡にあるのがサン・エシドロ・ディストリクトだ。サンタクララ郡にはサン・エシドロ・ディストリクトの他に、パチェコ・パスAVAもあり、2つのAVAからなるワインの産地と言える。
サンタクララ郡全体で約1500ac(607ha)の面積を使い、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、フィアーノ、グルナッシュといった品種のぶどうを栽培している。
山脈のふもとにあることから極端に強い風は吹かないものの、日照時間は限られている。時間をかけて丁寧に育てられたぶどうは一粒の凝縮度が違うと評価が高い。
サン・エシドロ・ディストリクトのワインの特徴
サン・エシドロ・ディストリクトをはじめ、セントラルコースト産のワインは非常にのど越しが良く、癖のない豊かなアロマが特徴。フルーティーな味わいにありがちな果実の酸味はほとんどなく、熟したメロンなど甘い果実を彷彿とさせる。さらにはハチミツやバターといった独特のアロマも同時に感じられ、ワインが苦手な人でも飲みやすいと評価が高い。
軽やかで甘ったるい印象を持ちそうだが、後味はミネラルを含んだ乳製品のテイスト。軽やかさだけでない、独自の厚みも持っているワインと言って良いだろう。
エピソード
サンタクララ郡でぶどうの栽培が始まったのは1850年代。当時は1万5000ac(6070ha)の面積を誇り、さらには100以上のワイナリーがある一大生産地であった。
しかし、ぶどう樹の天敵である害虫・フィロキセラにより壊滅状態に。その後はぶどうではなくプラムの樹など他の果実樹が栽培され、1910年には100以上あったワイナリーが半数以下になってしまう事態へと陥ってしまった。
しかし、地域に住む醸造家たちの情熱もあり、ぶどう栽培は少しずつ復興を遂げていく。1990年にはAVAに登録され、現在はワインづくりが再び定着した珍しいエリアなのだ。
サン・エシドロ・ディストリクトの代表的なワイン
ボデガス・サン・イシドロ・グラン・レセルバ