気候・風土
サンタ・ルチア・ハイランズは、サンフランシスコから南、モントレーとカーメルから内陸に向かって約40kmに位置するワイン生産地。1991年にAVA認定された。
サンタ・ルチア山脈とギャバラン山脈で挟まれた、太平洋側の内陸、サリナス山脈の段丘一帯はサリナス・バレーと呼ばれるが、サンタ・ルチア・ハイランズもこのエリアにある。
モントレー湾から吹く風と霧の影響で、気候は冷涼だ。午前の日当たりは良さと海風で、ぶどうの光合成がじっくりと進む。
土壌は25種類の様々な土が混ざり合うが、ほとんどが細かい岩と沖積壌土。残りは砂利混じりの石灰質の土と花崗岩質沖積土で構成される。水はけが良い。
この地は昔から野菜・果実・花などの栽培が盛んで、日系移民やその後継者が代々営んでいる農園も多い。
ワインづくりは、1790年代にスペインの宣教師によって持ち込まれたが、その後、ぶどう畑が本格的に開発されたのは1980~1990年代。それから優良なワイナリーが生まれ、栽培面積も広がっていった。
ワインの特徴
長い時間をかけて穏やかに熟成し、収穫も長期間にわたるぶどうは、しっかり熟し、味わいの深いものとなる。有機栽培、バイオダイナミック農法、持続可能なぶどうの生産を心がけており、「Growing Green」という言葉で表現される。
主に栽培されている品種は、ピノ・ノワール、シャルドネで、他にはシラーが栽培されている。
カリフォルニアのニューワールド・ピノ・ノワールらしく、果実味が豊かで酸味も穏やかなものが多い。また樽熟成で生産されたものは少し苦味を持つものもあり、エレガントな味わいだ。
この地のピノ・ノワールといえば「ピゾーニ」が有名で、世界的に知名度が高い。
その質の高さの一因となっているのが、ブルゴーニュの名高い単一畑「ラ・ターシュ」の分岐株と言われる「ラ・ターシュ・クローン」である。
一押しのワイナリー/当たり年
サンタ・ルチア・ハイランズの生産者のうち、各方面にて高い評価を得ているつくり手として、ピゾーニ・ヴィンヤード、ロゼラス・ヴィンヤード、ゲイリーズ・ヴィンヤード、ハン・ファミリー・ワインズ、ベル・グロス、マール・ソレイユ、ピーター・マイケル、コスタ・ブラウン、パライソ・ヴィンヤード、チュードル・ワインズ、テスタロッサ・ヴィンヤーズ、バッカント・ワインズ、モーガン・ワイナリーなどが挙げられる。
セントラル・コースト地区のワインは2000年以降、特に外れの年はないとされ、安定したクオリティのワインを産出し続けている。
エピソード
この地区の銘酒・ピゾーニは、母株がDRCの所有する特級畑「ラ・ターシュ」にさかのぼる。違法に国境を超えたと言われる「ラ・ターシュ・クローン(分岐種)」が使われ、そのためにそのワインの質は他のものとは一線を画すと言われている。
また、近隣の親しい畑にもこの希少な株を分けており、それらももちろんラ・ターシュ・クローンであることから、この地域のワイン全体のクオリティが押し上げられている。近年ではサンタ・ルチア・ハイランズ全体が「カリフォルニア州のラ・ターシュ」であるとも認識されるようになった。
代表的なワイン
ピゾーニ・エステート ピノ・ノワール サンタ・ルシア・ハイランズ
ロアー ゲーリーズ ピノ・ノワール サンタ・ルシア・ハイランズ
ハーン・ワイナリー・シャルドネ・サンタ・ルシア・ハイランズ
ロッケ・ディ・マンゾーニ バローロ・カッペッラ ディ サント ステーファノ
Boekenoogen Santa Lucia Highlands Pinor Noir
ハン・ファミリー・ワインズ・SLH・ピノ・ノワール
マール・ソレイユ・リザーブ・シャルドネ
ピーター・マイケル「ラ・ムーラン」ルージュ・ピノ・ノワール
コスタ・ブラウン・サンタ・ルチア・ハイランズ・ピノ・ノワール