ナパ・バレー

ナパ・バレーワインの特徴とは

   

世界的なプレミアムワインの生産地として有名なナパ・バレー。生産量はカリフォルニアワイン全体の1割にも満たないが、高品質のワインをつくるワイナリーが集中している。多くのワイナリーが、ワイナリーツアーやテイスティングを実施しており、ワインツーリズムも盛んだ。

カリフォルニアで最も有名な産地、ナパ・バレーの特徴を見ていこう。

ナパ・バレーの気候・風土

ナパ・バレーは、ナパ・カウンティのほとんどを占めるAVAだ。サンフランシスコの北側に位置している。西側にはマヤカマス山脈、東にはヴァカ山脈がある渓谷地(バレー)で、南にあるサン・パブロ湾から冷涼な風や霧が吹き込むため、北に行くほど温暖になる。

約1万8400haあるぶどう栽培面積には、100種を超える土壌があるといわれている。大ざっぱにいうと、北は火山性土壌、湾周辺は海洋性土壌、そして中央部は粘土質や砂利が混ざった堆積土の土壌だ。

寒暖差や多様な土壌、渓谷地特有のマイクロクライメイト(微気候)が栽培環境を形成し、つくられるワインにさまざまな個性を与えている。

ナパ・バレーの産地

William Hill Estate Winery, Napa Valley

ナパ・バレーが持つ多様なテロワールは、同じ品種であっても栽培されたエリアによって異なる味わいを持つ。

2021年時点で、ナパ・バレーAVAの中には16のAVAが存在するが、その中から主な産地を紹介する。

ラザフォード

バレー中央部に位置しているAVA。ラザフォード産のカベルネ・ソーヴィニヨンには、高価格が付いているものもある。

水はけの良い土壌はラザフォード・ダストと呼ばれており、高品質のカベルネ・ソーヴィニヨンを生むといわれている。西側の段丘はラザフォード・ベンチと呼ばれ、砂利や岩だらけで荒涼とした土壌として知られている。

トウモロコシすら育たなかったので、150~200年前に住んでいたネイティブアメリカンたちは川の近くへ移ったといわれている。他の作物には適さない荒れた土壌だが、カベルネ・ソーヴィニヨンにとっては最高の場所だ。ちなみに、カベルネ・ソーヴィニヨンの銘醸地であるボルドー地区のポイヤックも、他の農作物には適さない場所だといわれている。

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オークヴィル

バレー中央部、ラザフォードの南に位置するAVA。果実味と味が感じられる高品質のカベルネ・ソーヴィニヨンが生まれている。“カリフォルニアワインの父”と呼ばれるロバート・モンダヴィ氏が、創業の地に選んだ場所だ。ナパ・バレーでも特に高品質なワインを生むといわれているト・カロン・ヴィンヤードがある。

エリアの東西で土壌や気候が異なっており、西側には有名ワイナリーが軒を連ねている。東側は午後の日差しをたっぷりと浴びるため、ぶどうはより熟成されて力強いワインになる。

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スタッグス・リープ・ディストリクト

カリフォルニアで最初に認定されたAVAで、バレー中央部よりもやや南に位置する。この地にあるスタッグス・リープ・ワインセラーズのカベルネ・ソーヴィニヨンは、1976年のパリ・テイスティングで、フランスの有名ワイナリーを抑えて1位に輝いた伝説的なワインだ。

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ロス・カーネロス

ナパ・バレーの最南部に位置するAVA。西半分はソノマ・カウンティに属している。非常に冷涼な気候で、高品質のピノ・ノワールシャルドネが生まれる地域だ。海からの風と霧の影響を受ける地域で、ぶどうはゆっくりと成長する。土壌は、主にやせた粘土質。ぶどうが深く根を張り、硬質でミネラル分を多く含んだ実がなる。

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その他のAVA

・チャイルス・バレー・ディストリクト
・ハウエル・マウンテン
・カリストガ
ダイヤモンド・マウンテン・ディストリクト
スプリング・マウンテン・ディストリクト
・セント・ヘレナ
ヨーントヴィル
・オーク・ノール・ディストリクト・オブ・ナパ・バレー
マウント・ヴィーダー
アトラス・ピーク
・クームズヴィル
ワイルド・ホース・バレー

ナパ・バレーの代表品種

高い評価のカベルネ・ソーヴィニヨンが生まれており、栽培面積の約半分をカベルネ・ソーヴィニヨンが占めている。その他にも、温暖な地域ではシラージンファンデル、冷涼な地域でシャルドネやピノ・ノワールが栽培されている。

評価の高いソーヴィニヨン・ブランも生まれており、ガーギッチ・ヒルズ・エステートのソーヴィニヨン・ブランからつくられたフュメ・ブランは、アメリカのレーガン大統領やクリントン大統領、英国女王エリザベス2世などの晩餐会で愛飲されている。

また、研究熱心なワイナリーにより、さまざまな品種の栽培が試みられている。

Napa Valley

ナパ・バレーのエピソード

1966年、ロバート・モンダヴィ氏が、禁酒法以降で初となるメジャーなワイナリーをナパ・バレーで設立した場所が、オークヴィル。当時、ナパ・バレーに20軒ほどしかなかったワイナリーは、現在では500軒ほどになっている。

ワイナリーに併設されたヴィンヤードが、ト・カロンだ。ギリシャ語で「美しさ(beauty)」を意味するト・カロンは、19世紀にワインやぶどうに情熱を注いだ人物、H. W. クラブ氏によって発見された土地だ。1866年から1868年の間に、彼のワインはいくつかの審査会で金賞や銀賞を受賞している。

1976年のパリ・テイスティングで、カリフォルニア産のワインがフランス産ワインを抑えて高い評価を受けたことは有名だが、それより100年以上前から、ト・カロンがカベルネ・ソーヴィニヨンにとって素晴らしいテロワールであることは知られていたのだ。

1968 Beaulieu Vineyard Napa Valley Cabernet Sauvignon at Troquet

ナパ・バレーの代表的なワイン

オーパス・ワン
フロッグス・リープ エステート・グロウン カベルネ・ソーヴィニヨン
イングルヌック カベルネ・ソーヴィニヨン
ハイツ・セラー “マーサズ・ヴィンヤード” カベルネ・ソーヴィニヨン
スタッグス・リープ・ワインセラーズ S.L.V.エステート カベルネ・ソーヴィニヨン
ガーギッチ・ヒルズ フュメ・ブラン エステート・グロウン

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