有名なフランスの白ワイン「シャブリ」。シャブリがつくられるシャブリ地区において、土壌がシャブリ特有のキンメリジャン(小さな牡蠣の化石が埋もれる土壌)ではない土地でつくられた白ワインが「プティ・シャブリ」としてリリースされる。
気候・風土
フランス東部・ブルゴーニュ地方の最北に位置するシャブリ地区にあるワイン産地。シャルドネ種100%の白ワインで1944年にAOC認定された。プティ・シャブリにあるぶどう耕作面積は、約770haである。
シャブリ地区はブルゴーニュの最北端に位置するワイン産地。約20kmに及ぶセラン川流域の小さな谷やなだらかな丘陵地にぶどう畑が広がる。
北緯48度にあり気候は冷涼。良質のワインづくりに必要な日照を得るため、日当たりのよい斜面でぶどうが栽培されている。
プティ・シャブリはもともと、シャブリ地区内にありながらも、土壌がシャブリ特有のキンメリジャンでないものに与えられたAOCであった。
「キンメリジャン」とは、小さな牡蠣の化石が無数に埋もれている土壌のこと。シャブリ地区一帯がかつては海であったことから、こうした特性が現れている。プティ・シャブリの土壌は、キンメリジャン土壌より少しだけ新しい、ポートランディアン期の土壌だ。
現在は、土質が多少異なったものでも、上質なものであればAOCシャブリを名乗ることが認められている。
ワインの特徴
ワインは若いうちに飲む軽やかな魅力を持つものが多い。
使用品種はシャルドネ種100%。温暖な気候で栽培されたシャルドネからつくられるワインがフルーティだとすると、シャブリのシャルドネはより酸味が強くキリリとした味わいである。
外観は、クリーンな黄金色であり、緑がかっているものもある。シャブリらしい白い花のアロマと、レモンやグレープフルーツのようなフレッシュな香りが混じり合い、その向こうにはミネラル感が感じられる。また、シャブリに特徴的なヨードの香りもあり、これが魚介類や甲殻類と抜群の相性を奏でる。
チーズと合わせる場合はハードタイプのゴーダチーズやグリュイエールなど、比較的塩気を感じるインパクトのあるチーズが良い。
またブルゴーニュ地方の他の白ワインと比較するとオーク樽の香りがずっと少ない。一般的なシャブリワインの多くは木樽ではなくステンレス樽で発酵される。こうしたシンプルな手法が、シャルドネ種本来の持ち味を最高の状態で活かしているとも言われる。
一押しのワイナリー/当たり年
各方面で高評価を得ているプティ・シャブリの生産者として、ドメーヌ・ラロッケ、レネ・エ・ヴィンセント、ウィリアム・フェーブル、ドメーヌ・ルイ・ミシェル・エ・フィス、ラ・シャブリジェンヌ、オリヴィエ・トリコン、ドメーヌ・フランソワ・ラヴェノー、ドメーヌ・サン・クレア、ドメーヌ・ジャン=クロード・クールト、クリストフ・エ・フィス、ドメーヌ・ガルニエ・エ・フィス、ドメーヌ・フィリップ・シャルロパンなどが挙げられる。
ブルゴーニュ地方の白ワインは1998年と2003年の出来があまり良くない以外は、どの年も安定したクオリティを保っている。特に、2014年の出来は素晴らしく、見つけたら購入をお勧めしたい。
エピソード
シャブリでワインを醸造する有名な作り手の多くがプティ・シャブリも醸造しているが、値段はシャブリ・グラン・クリュなどに比べると、かなりリーズナブルな場合が多い。
その理由としては、もちろん土壌の違いが挙げられるのだが、シャブリに比べても全く遜色ないクオリティのワインが数多く作られているため、日常使いには著名な醸造家のプティ・シャブリを狙うのも良いだろう。
基本的には早飲みタイプのワインではあるが、表記ヴィンテージより2年ほど待つと味わいにまとまりが出る。
代表的なワイン
・ドメーヌ・シャルロパン/プティ・シャブリ
・ラ・シャブリジェンヌ/プティ・シャブリ
・ドメーヌ・ラロッケ/プティ・シャブリ
・ウィリアム・フェーブル/プティ・シャブリ