オー・タルマニャックの気候・風土
フランス・ボルドーの南、ジェール(Gers)県、ランド(Landes)県、ロット・エ・ガロンヌ(Lot-et-Garone)の3県にまたがる地域をアルマニャック地方という。その中でも、さらに土壌によって3つの地区に分けられ、白亜質の土壌を持つワイン産地について、AOC(原産地呼称統制法)で「オー・タルマニャック」として認められている。
“AOC Armagnac vignes du Gers” by JPS68 – Own work. Licensed under CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons.
ガロンヌ川が流れるオー・タルマニャック周辺の土地は、浸透性が高く水はけがよいためぶどう栽培に適している。大西洋に近く、気候は海洋性。冬も比較的温暖で、夏は暑く雨量が多い。オー・タルマニャックでは、こうした気候を好むコロンバール種が広く生産されている。
オー・タルマニャックのワインの特徴
アルマニャック地方はブランデーの名産地として知られ、コニャック、カルヴァドスとともにフランスの3大ブランデーと称されている。
製法は白ぶどうからまずはワインをつくり、それを蒸留して樽に入れ、熟成させる。蒸留したての香りは、フレッシュなプルーンなどフルーツを思わせる香りがする。そして熟成により深みが増すと、ドライフルーツのような香りへと変化し、アルマニャック独特の力強い風味と香りを生み出していく。
アルマニャックは、AOCによって厳しくその製品を管理・保護しており、バー・ザルマニャック、テナレーズ、オー・タルマニャックでつくられたものだけを、アルマニャックと称することが認められている。
この3つの特徴は、バー・ザルマニャックは香高く繊細で上質、テナレーズは男性的な腰の強さがあり芳香、そしてオー・タルマニャックは3つの中では一番おとなしい。
コニャックを女性に例えると、アルマニャックは男性に例えられるような力強い香りが特徴の食後酒である。
エピソード
14~15世紀ごろから、フランスで「オードヴィ」(フランス語で「命の水」の意味)と呼ばれ、アルマニャック地方やコニャック地方で生産が始まったというブランデー。中世のアルマニャック地方ではブランデーよりもワインの生産が盛んだったが、宗教戦争の戦場となってしまったことから、豊かだったワイン畑が荒廃し、ワイン産地としての名声を落とすことになる。そこでオランダ貿易商のすすめによりブランデーづくりを始めたのが、アルマニャックブランデーのはじまりとされる。
オー・タルマニャックの代表的なワイン
マルキ・ド・コサード
シャボー
プリンス・ドゥ・アルマニャック・ナポレオン
デュカスタン
ドゥロール
ニーメデルクリュー
ジェラス
アルマニャック ド モンタル
ジャノー
アルマニャックナポレオン
サンヴィヴァン
※熟成期間により、商品名と、スリースター、V.S.O.P.、X.O.ナポレオン(NAPOLEON)、などの表示が変わる。