クレレット・ド・ディーの気候・風土
クレレット・ド・ディーは、アルプスから流れるドローム川とイーゼル川に挟まれたディー村で作られるワインに認められたAOC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)。片岩質を多く含む泥灰土からなる土壌は黒ずんでいて、「黒い土地」と呼ばれている。
生産されるワインのほとんどがスパークリングワイン。クレレット・ド・ディーを代表するワインメーカーのジャイアンス社は、シャンパーニュを除くAOCスパークリングワインのシェアで1位の企業だ。
また、白ワインを作っているブドウ畑も、2カ所だけだが存在している。白ワインの生産量はごくわずかだが、クレレット100%で作られる繊細な白ワインはスタイリッシュな後口が印象的だ。
クレレット・ド・ディーのワインの特徴
この地域で作られるスパークリングワインは、2000年前から受け継がれる伝統的な製法で作り出される。
特筆すべきは、低温の環境でワインを作り出す独自製法。発酵開始から終了まで、6カ月にも及ぶ発酵期間中、2~4℃という低温の環境をキープすることで甘みと香りを最高の状態に持っていく。ヴエルコール山脈の冷水を利用できるという地の利を生かしたクレレット・ド・ディーにしかない独自の発酵法と言えるだろう。
使用品種はクレレット種100%。果実の香りとナチュラルな口当たりが特徴の甘口発泡ワインに仕上がる。
また、スパークリングワインを製造する上で、添加剤を使用することが一般的だが、クレレット・ド・ディーのスパークリングワインは添加剤を一切使用しない。
そうした製法によって作られるため、余計な味わいを削ぎ落としたナチュラルな味わいを楽しむことができる。ワインの香りも一般的なシャンパンと比べて非常に強く、10倍ほどにも凝縮されているという。
エピソード
クレレット・ド・ディーの歴史は2000年前にさかのぼる。当時は、クレレット・ド・ディーのことを「アイグレウコス」と呼び、そこで作られるスパークリングワインは海外でも注目されていた。
古代ローマ博物学者である大プリニウムは著書の中で「ギリシャやローマ帝国にはろくな甘口ワインがない。本当に素晴らしいのは唯一、アイグレウコスだけだ」と絶賛している。
クレレット・ド・ディーの代表的なワイン
クレレット・ド・ディー トラディション・ビオ
クレレット・ド・ディー ピュル・ミュスカ