ザール の気候・風土
ドイツを流れるモーゼル川流域は、気候が温暖なことからワイン生産に適している。ザール川はモーゼル川の支流としてフランスとドイツを流れているが、同じように数多くのワイン生産地がある。
ぶどう畑があるのはほとんどが南向きの急斜面で、土壌はスレートの粘板質となっている。こうした立地条件から、ほとんどの作業は手作業で行われる。
ザールの主なワイン村としては、モーゼルとの合流地点に近いヴィルティンゲンや、その上流のアイル、ザールブルクなどがある。
栽培されるぶどうはリースリングが半数以上を占める。リースリング100%によってつくられるものも多い。他にはケルナーやミュラー・トゥルガウなどが栽培されているが、ほとんどが白ぶどうとなっている。
ザール のワインの特徴
ザールでつくられるワインは、総じて引き締まった上質な味わいを持つ。
ヴィルティンゲンには、特別畑シャルツホフベルク(開墾された山、の意)がある。その品質は世界的に認められており、ドイツで5箇所しかないオルツタイルラーゲ(畑名でのブランド)としてよく知られている。
ど醸造所はエゴン・ミュラーやケッセルシュタットが有名で、なかでもエゴン・ミュラー醸造所は「白ワインの女王」として世界にその名を轟かせる。
エゴン・ミュラーのシュペートレーゼ(遅摘み)はたいへんな高値がつくものが多い。ライムや白桃、リンゴといった果物、花やスパイスなどを思わせるアロマに、フレッシュな酸味とミネラルのバランスの取れた、エレガントで上質なワインとなっている。
エピソード
イタリアワインやフランスワインは製造される畑によって格付けが行われることが多いが、ドイツにおいては主にぶどう果汁の糖度や熟成度合いによって格付けが行われる。
これはドイツの国土が北緯48~52度の高緯度に位置し、地中海沿いのヨーロッパ各国に比べ日照時間が確保しにくいことも一因となっている。
ちなみに、シュペートレーゼとは、解禁された後収穫を7日以上遅らせたもののことを指す。収穫を遅らせぶどうを充分に熟した状態にすることで、糖度を高めるのが目的だ。
ザール の代表的なワイン
シャルツホフベルガー リースリング シュペートレーゼ / エゴン・ミュラー
ザール・リースリング / ドクター・ハインツ・ワグナー
ザールブルガー ラウシュリースリング アウスレーゼ / ドクター・ハインツ・ワグナー
ザール・リースリング / ファン・フォルクセン