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ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(Brunello di Montalcino)とは、イタリア・トスカーナ州モンタルチーノ地区でつくられるワイン。サンジョヴェーゼの変異種ブルネッロを使用した力強い味わいが特徴だ。
バローロやバルバレスコと並び、イタリア3大赤ワインとして賞賛を受ける。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは2006~2007年が特に当たり年で、飲みごろを迎えている。
おすすめのワイン
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・リゼルヴァ / ビオンディ・サンティ
ぶどう品種の「ブルネッロ」を発見し、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノを初めてつくり出したのは、ビオンディ・サンティのフェルッチオ・ビオンディ・ サンティ氏だと言われている。
こちらは、そのビオンディ・ サンティが手掛けるリゼルヴァ。樹齢25年以上のぶどう樹から採れるぶどうのみを用いて、36カ月間の熟成を経てから出荷する。数万円~10万円弱ほどもする高級ワインだ。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ / ガヤ(ピエーヴェ・サンタ・レスティトゥータ)
イタリアのワイン専門誌「ガンベロ・ロッソ」において、最高賞のトレ・ビッキエリを最も多く獲得したイタリアワイン界の名門・ガヤ。同社傘下のピエーヴェ・サンタ・レスティトゥータが手掛けるブルネッロ・ディ・モンタルチーノがこちらだ。
環境に恵まれた区画で育ったぶどうを使用したバランスのとれたワイン。他にもより高級なブルネッロ・ディ・モンタルチーノとして、単一畑のぶどうのみを使用した「スガリーレイ」、3つの区画から採れたぶどうをブレンドした「レイニーナ」もリリースしている。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ / アレグリーニ(サン・ポーロ)
2016年、「ガンベロ・ロッソ」においてワイナリー・オブ・ザ・イヤーを受賞したアレグリーニ。イタリア・ヴェネト州のNo.1ワイナリーとして知られ、アマローネやヴァルポリチェッラのつくり手として高評価を受ける。
そのアレグリーニが買収したサン・ポーロのつくり出すブルネッロ・ディ・モンタルチーノがこちら。モンタルチーノ地区の中でも標高450mほどと高めで、南西を向いた風通しのいい恵まれた土地で育てたぶどうを使用する。
ワインの特徴
イタリアン・ワインの大半を構成しているサンジョヴェーゼ種だが、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのぶどうはこの突然変異種にあたる。特に皮が厚く粒が大きいためサンジョベーゼ・グロッソ種、もしくはブルネッロ種と呼ばれて区別される。
タンニンも他のぶどうと比べ、きめ細かく力強い。グロッソ(太い)という名前の通り、フルボディワインにはぴったりのぶどうといえる。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノを名乗るワインは、100%このブルネッロ種を使用しなければならないと定められている。また、その味の濃さとタンニンの強さから、最低でも4年間という長い期間の熟成を要するのが特徴だ。そのうち2年間はオーク樽の中で熟成される。
ガーネット色の外観、ベリーの香りにバニラとスパイスのニュアンスが踊るエレガントな印象が特徴的だ。熟成に耐えうる力強さを持ち、抜栓についても、他のワインと違い、ヴィンテージであればあるほど早めに栓を抜いておかなければならない。古いワインの教科書では「飲む8時間前に抜栓すべし」と書かれたものもあるほどだ。
その味わいは世界で認められており、バローロやバルバレスコとともにイタリア3大ワインのひとつに数えられる。
一押しのワイナリー/当たり年
トスカーナ州 ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの生産者のうち、各方面にて高い評価を得ている作り手として、ポッジョ・ディ・ソット、アンジェロ・ガヤ、ペルティマリ、イル・ポッジョーネ、コスタンティ、カナリッキオ、カサノヴァ・ディ・ネリ、ビオンディ・サンティなどが挙げられる。
トスカーナのワインは、2008年、2007年、2006年、2005年、2001年、2000年、1999年、1997年の出来が良いと評価されている。トスカーナ州で最も格の高いワインに位置付けられるブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、当たり年は特に高い価格・値段となることが多い。
気候・風土
ブルネッロ・モンタルチーノはイタリア・トスカーナ州のワイン産地だ。シエーナ県南部のグロッセートとの県境に位置する。
ここがヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノなどとともに、DOCGの指定を受けたのは1980年のこと。これはバローロと並び、最古のDOCG指定である。
モンタルチーノとはイタリア語で「トキワガシの山」という意味。気候は年中通して温暖で乾燥しており、雨が少ない。平均年間降雨量は700mm前後。土壌は石灰岩や粘土に、火山性の凝灰岩などが混じる。ぶどう畑はぶどうの完熟度を重要視するため標高600m以下でなくてはならないという規制があり、標高150~500mのところに展開している。
畑の場所によりミクロクリマが繊細な影響を与えている。概ね北部の斜面に位置する畑ではぶどうは遅く熟し、すっきりとした印象のワインとなる。一方で、南部と西部の畑では、強い日差しと朝晩の冷風が影響し、より複雑でパワフルなワインが出来上がる。多くの生産者は優れたテロワールにいくつかの畑を持ち、理想的なバランスのワインをつくり上げている。
エピソード
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノでのワインづくりの歴史は、14世紀にまでさかのぼる。しかし、1870年代までは現在のサンジョヴェーゼ100%を用いたワインではなかった。
現在のブルネッロ・ディ・モンタルチーノの原料となるブルネッロ種は、19世紀のある日、地元のワイン生産家であるビオンディ・サンティ家の庭にてサンジョヴェーゼ種の突然変異種として発見された。
その後改良に改良を重ね、この突然変異種をなんとか製品化することに成功したビオンディ家のワインはたいへんな賞賛を受けた。
それに追随する形で、他のモンタルチーノのワイン生産家もブルネッロ種を用いたワインをつくり始め、今ではイタリアを代表するフルボディワインの産地となった。
代表的なワイン
カサノヴァ・ディ・ネーリ
チェルバイオーナ
ビオンディ・サンティ・ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ
コル・ドルチア
ナルディ・ヴィン・サント