キャンティ・ルフィナの気候・風土
キャンティ・ルフィナは、フィレンツェの北東にあるワイン生産地。イタリアを南北に縦断するアペニン山脈の付近に位置する。D.O.C.G(統制保証付原産地呼称)に指定されている。
山脈のふもとにぶどう畑が広がっていることから、200~250m、なかには500mを超えるような、比較的標高の高いところに畑があるのが特徴で、昼夜の気温差が大きく、山側から吹き付ける風の影響により繊細な味わいを携えたぶどうができる。キャンティ・クラシコが7万haという広大な作地面積を誇るのとは対照的に、キャンティ・ルフィナの栽培面積は750haと、比較的小規模な生産地といえよう。
地域全体において石灰岩をベースとした土壌が広がり、それに加わる粘土質土壌が適度に保水するため、夏場にも干ばつが問題になることはあまりない。
キャンティといえば先出のキャンティ・クラシコが有名だが、その他にもワイン生産地を名乗ってよいとされる7カ所の産地があり、キャンティ・ルフィナはそのうちの1つ。クラシコの陰に隠れ、また海外にあまり出ていないことから特に日本での知名度は高いとは言えないが、キャンティの産地の中でも最良と言われ、注目を集めつつある。
キャンティ・ルフィナのワインの特徴
この地で生産されるワインはフルボディワインが多く、濃厚な味わいにタンニンがほどよく含まれたものとなっている。このキャンティ・ルフィナは他のキャンティに比べ、すがすがしく飲みやすいのが特徴だ。また、特徴としてミネラルがしっかりと感じられる。ぶどう品種としては、他のキャンティ地区と同様に70%のサンジョヴェーゼ使用が義務付けられ、その他にカナイオーロやカラリノ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローが使われる。
また、キャンティ・ルフィナでは一般的なワインのほかにリゼルヴァワインも生産されている。
イタリアにおけるワインの熟成方法は、近年ではバリックなどフレンチオークの小樽を用いる方法が一般的になりつつあるが、このトスカーナ地域では、スラヴォニアンオークを用いた昔ながらの大樽熟成も行われている。
一押しのワイナリー/当たり年
キャンティ・ルフィナの生産者のうち、各方面にて高い評価を得ているつくり手として、マルケシ・デ・フレスコバルディ (Marchesi de Frescobaldi)、レンツォ・マジ(Renzo Masi)、ファットーリア・ラヴァッキオ・セドロ(Fattoria Lavacchio Cedro)、ファットーリア・ディ・バッシャーノ(Fattoria di Basciano)、イ・ヴェローニ(I Veroni)、ファットーリア・ディ・グリニャーノ(Fattoria Di Grignano)、セルヴァピアーニャ(Selvapiana)、ヴィッラ・トラヴィニョーリ(Villa Travignoli)、コロニョーレ(Colognole)、フラスコーレ(Frascole)、イル・ポッゾ(Il Pozzo)、カステッロ・デル・トレッビーオ(Castello Del Trebbio)などが挙げられる。
トスカーナ州のワインは2008年、2007年、2006年、2005年、2001年、1999年、1997年の出来が良いと評価される。キャンティ・ルフィナワインは、トスカーナの中でも比較的リーズナブルな値段のものが多く、コスト・パフォーマンスが良い。
エピソード
キャンティ・ルフィナの作地面積自体はそれほど大きくないが、ワインづくりの歴史はたいへん古く、15世紀にはすでに行われていたとの記録がある。その評価も高く、1762年にはメディチ家の第6代トスカーナ大公だったコジモ3世がキャンティ・ルフィナを称えて、「ルフィナが、トスカーナの土地で最もワインづくりに適している」という言葉を残している。
キャンティの呼称も、このコジモ3世が定めたものだ。彼は1716年にトスカーナ地方における呼称制度の制定と生産範囲の限定を行った。その際制定された4つの地域のうちの1つがキャンティだ。
この地のワイン生産者はおよそ20社と決して多くはないが、小規模産地ゆえの密接なつながりをもち、それぞれが地域の勃興に向けて切磋琢磨している。キャンティ・ルフィナ独自のDOCG呼称は未だ認められていないが、Rufinaの名を冠することでその高いクオリティを示唆することが可能なため、ラベルに表記する醸造家が多い。
キャンティ・ルフィナの代表的なワイン
バローニ キャンティ・ルフィナ
ファットリア・ディ・グリグナーノ キャンティ・ルフィナ
キャンティ・ルフィナ ニポッツァーノ・リゼルヴァ / フレスコバルディ