マイポ・バレーの気候・風土
マイポ・バレーはチリのほぼ中央、セントラル・ヴァレー地方の北端に位置する。アンデスと海岸山脈の間、内陸部に広がるマイポ・バレーは、チリワイン発祥の地と言える。
首都サンディアゴから近く、19世紀にヨーロッパからの醸造家たちがボルドーから苗木を直輸入したため、ボルドー系の黒ぶどう品種が多い。
マイポ・バレーはアルト・マイポ、セントラル・マイポ、マイポ・バホの3地域に分けられる。温暖な気候でありながら年間の降雨量は少ないため、灌漑の設備の発展がマイポ・ヴァレーのワイン生産量を安定させた。
マイポ・バレーのワインの特徴
前述のように、マイポ・ヴァレーではボルドー系のカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ソーヴィニヨン・ブラン、カルメネールなどの栽培が多く、それに比べるとシャルドネの栽培量はごくわずかだ。
樽でしっかりと熟成させた赤ワインが多く、中にはチリで最も賞賛を浴びているワインがいくつもある。
特に、アルト・マイポ地区は山脈からの冷涼な風の影響を受け、タンニンのしっかりとした骨格のあるぶどうが収穫できる。
また、マイポ・ヴァレー内には、アルウエ、ブイン、イスラ・デ・マイポ、マリア・ピント、メリピージャ、ピルケ、プエンテ・アルト、サンティアゴ、タラガンテという小さなDO指定もある。
代表的な生産者
マイポ・ヴァレーはセントラル・ヴァレー地区の中では最も小さな地域だが、有名なワイナリーが多い、まさにチリワインの中心地だ。
この地区の生産者として、コンチャ・イ・トロ、サンタ・リタ、サンタ・カロリーナ、カルメン、エラスリス、ヴィーニャ・ケブラーダ、サンタ・エマ、ヴィーニャ・サン・ペドロ、サンタ・アリシア、ガレージ・ワイン・カンパニー、ヴィーニャ・アルマヴィーヴァ、カルドナル、エル・プリンシパル、タラパサなどが挙げられる。
ワインはリーズナブルな価格のものから、1万円を超える値段のものまでさまざまだ。
エピソード
マイポ・ヴァレーの老舗ワイナリーであるヴィーニャ・サンタ・エマは、1917年イタリアのピエモンテ州からチリに移住してきたペドロ・パヴォーネによって開かれた。高品質なワインが作れると確信した彼は、1931年に土地を購入、ぶどう栽培を始める。
最初は地元の醸造所にぶどうを売っていたが、その品質が好評を呼び、彼は自分でワインをつくることに。そして数十年後、パヴォーネ家のワインは国際的なワイン雑誌複数に取り上げられ、世界中で売られることとなった。
マイポ・バレーの代表的なワイン
・エラスリス・ビネード・シャドウィック
・マルケス・デ・カサ・コンチャ・カベルネ・ソーヴィニヨン/コンチャ・イ・トロ
・グラン・レゼルヴァ・カベルネ・ソーヴィニヨン/カルメン
・シークレット・リザーブ・レッド・ブレンド/サンタ・リタ
・カサ・レアル・カベルネ・ソーヴィニヨン/サンタ・リタ
・エスクード・ロホ/バロン・フィリップ・ロートシルト
・レゼルヴァ・メルロ/サンタ・エマ