ナバーラの気候・風土
ナバーラ(DO)はスペイン北部にあり、ラ・リオハ自治州に隣接する。
ナバーラ州はフランシスコ・ザビエルの生誕地としても有名で、同州南部のエブロ川沿いにワイナリーが点在する。
ナバーラの気候はリオハよりも温暖で、大陸性気候の影響を受け、冬は山脈からの冷涼な風を受け、夏は乾燥する。
ナバーラDOは、5地域から構成され、最も重要な地域であるリベラ・バハ地域は乾燥した砂岩質の土壌を持つ。
ナバーラのワインの特徴
ロゼワインが有名で、どちらかというと隣接するリオハの影に隠れていた印象のナバーラだが、近年赤ワインの重要な産地として認識されるようになった。
ロゼはセニエ方式でつくられ、ガルナッチャを100%使用し、フレッシュで果実味溢れる味わいを特徴とする。
赤ワインはリオハと異なり、ガルナッチャやテンプラニーリョの他、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロなども多く栽培され、それらをブレンドして作られているものも多い。
白ワインについては土着品種の他、シャルドネも栽培している。生産量は多くなく全体の10%ほどだが、半数はシャルドネを使用しているものだ。
また、ビノス・デ・パゴ(単一ぶどう畑限定ワイン)に指定されている畑が3つある。
エピソード
ナバーラはフランスとスペインの国境近くに位置し、サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼の出発点としても知られる。中世には独立したナバラ王国であった同地は、巡礼者からの需要もあり、ぶどう栽培が発展した経緯がある。巡礼者へのガイドブックには「ナバーラのワインは美味しい」と書かれていた。
また、フランスでのフィロキセラ流行を逃れてやってきたフランスの醸造家たちは、鉄道が敷かれていたリオハを選び、カルリスタ戦争で不安定であったナバーラを避けたという。
こういった歴史的背景もあり、古代ローマ時代からぶどう栽培を続けてきたナバーラが、独自のワイン文化を育むに至った。