イエクラの気候・風土
イエクラは、スペインの南東に位置するムルシア州北東部にあるワイン生産地。ムルシア州の中では、やや標高の高い場所に位置している。
ムルシア州は、比較的標高の低い山に囲まれており、気候は、降水量が年間300ミリと極端に少ない大陸性気候。土壌は、主に石灰質だが、砂質や粘土質も含んでおり、ふどうの栽培に適している。
イエクラのワインの特徴
イエクラは、1975年に原産地呼称D.O.に認定された。スペインでは唯一ひとつの街からなる原産地呼称地域だ。
数十年前まで、イエクラの赤ワインは、アルコール度数が18度と非常に高く、粗野で野性味にあふれていた。そのため、主にブレンド用のワイン、あるいは、低価格のワインと評された。
しかし、19世紀後半にフィロキセラ害虫の大量発生であるフィロキセラ禍が発生。ぶどう畑は大きな被害をこうむり、改植を余儀なくされた。
これをきっかけに、ぶどう栽培の改善が進み、現在は、地元原産のモナストレル種を中心に、カベルネ・ソーヴィニヨン種やメルロー種を使用し、濃厚でフルーティーな香りをもつ洗練されたワインがつくられるようになった。また、渋味と酸味のバランスが良く、余韻を楽しめるワインでもある。
長い間、隣接する大きな原産地の陰となっていたが、近年、知名度や評価を上げつつある。
エピソード
スペインでモナストレル種は、15の原産地で使用が認められている。しかし、主力として使用している産地は、ムルシア州のイエクラ、フミージャ、ブージャスの3か所。
モナストレル種は、15世紀の書物に“身が小さく皮が厚い“という記録があるほど、古くから栽培されている。しかし、熟しにくく、収穫期が遅い品種として知られ、他の品種とブレントして使われることが多かった。
そうした中、ムルシア州では、モナストレルを中心に使用し、凝縮感ある良質なワインを産出している。
イエクラの代表的なワイン
・セニョリオ・デ・バラオンダ・ベジュム・エル・レマーテ
・カントス・デ・ビセラ・モナストレル
・トラピオ・モナストレル/ラ・プリシマ・ボデガ
・エレダー・カンデラモナストレル/バラオンダ
・カロ/バラオンダ