「バリック」とは、ボルドー地方やコニャック地方でワインの熟成に使用される木樽のこと。素材はフレンチ・オークやアメリカン・オークが使われる。同様の樽がブルゴーニュ等では「ピエス」と呼ばれ、容量も異なる。
バリックの意味/解説
バリック(Barrique)とは、ボルドー地方やコニャック地方にてワインを熟成させるために使われる、小型の樽のこと。かつては輸送にも使われていた。また、この樽を使用することでワインに加わる樽の香りを指す場合もある。
バリックの内容量はボルドーでは225リットル、コニャックでは300リットル。オーク(樫)を使用して作られる。
小型の樽で熟成させると、熟成期間を短縮したり、色素を安定させてワインの色を濃くしたりできる。このため、バリックを使用する生産者が増加したという経緯があった。
バリックは、ワインに樽の香り(バリック香)が加わるため、独特の香りを生み出す。さらに、オークに含まれるタンニンなどが溶け出し、ワインに力強さや絶妙な風味をもたらす効果がある。
新しい樽ほど、香りやタンニンが多く抽出されるので、ボルドーやブルゴーニュ地方の高級ワインは、新樽を多く使用してつくられる。
3年程使用すると、香りなどの効果が薄れるため、古樽としてブランデーの醸造所などに売却される。
ちなみに、ブルゴーニュやシャンパーニュ、アルマニャックでは同様の木樽が「ピエス」という名称を持つ。容量はブルゴーニュのコート・ドール等では228リットル、同じブルゴーニュのボジョレーでは216リットル、シャンパーニュでは205リットル、アルマニャックでは400リットルとそれぞれ異なる。
また、ドイツでは、モーゼルでは「フーダ」と呼ばれる1000リットルの大樽、ラインガウでは「シュテュック」というこちらも1200リットルの大樽が使われる。
なぜ地方により名前が異なるかは諸説あり、今のところ明らかになっていない。