アギオルギティコの意味/品種
アギオルギティコ(Agiorgitiko)とは、ギリシャのペロポネソス半島で主に栽培される赤ワイン用ブドウ品種。主な産地にネメアがあり、ネメアはこの品種の代名詞とされる。深い紅色であることと、ネメアがヘラクレスの生誕地であることから「ヘラクレスの血」とも呼ばれる。
アギオルギティコの特徴
原産地のネメアではおよそ2,500年前からブドウ栽培が行われていたとされ、ネメアの丘は一面にブドウ畑が広がる。この地方特有の素晴らしい生態系がブドウ栽培に多くの恵みをもたらしている。
アギオルギティコは古代から知られるペロポネソス半島の土着品種だが、近年ではカベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされることが多い。栽培地の標高により様々な表情を見せるユニークな品種で、標高450mまでは甘口のワインになる。海抜450m~650mと標高が上がるにつれ長熟で洗練されたフルボディの辛口になっていく。
アギオルギティコの味わい/香り
色調はやや濃い澄んだルビー・レッドで、ブラックベリーや干しブドウなどの魅惑的な果実香、甘いオークや熟したスモモの香りがあり、なめらかなタンニンと穏やかな酸味のワインが造られる。この品種はサン・ジョルジュとも呼ばれることがあるが、これはネメアと同じくアギオルギティコの別称である。
アギオルギティコの主な産地
1980年代前半まではギリシャワインのイメージは圧倒的にレツィーナであった。レツィーナとは白ワインと同じ製造過程に松脂を加えて風味づけした、ジンのような味わいがある伝統的なギリシャワインで、EUではギリシャだけに生産が認められているものである。
ギリシャワインの品質が決定的に向上したのは1985年頃と言われている。当時フランスで正式な訓練を受けた一群の栽培学者と醸造学者がギリシャに帰国したことに始まり、野心的な投資家の資本投下も手伝い、それまでのギリシャの伝統的ワイン造りはモダンな造りへと潮流を変えていった。
フランスからモダンなワイン造りを持ち帰った醸造家ジョージ・スコーラスは、ネメアを代表する黒ブドウ品種であるアギオルギティコとカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドしたワイン「メガス・エノス」を発表し、国内外で高い評価を受けた。それまでアギオルギティコは単一品種のワインのみが造られていたため、このブレンドはギリシャワインにとって画期的で斬新なことであった。現在ではこの醸造方法が多く用いられるようになった。