モスカートの意味/品種
モスカート(Moscato)とは、ギリシャ原産とされるブドウ品種。甘いフローラル系の香りが特徴で、白ワインに適したものから赤ワインになるものまで幅広くある。世界中で栽培されており、栽培用ブドウとして最も古く、およそ全てのブドウ品種がモスカート種だと言う説もある。
モスカートの特徴
フランス語ではミュスカ、英語ではマスカット、スペイン語ではモスカテル、ポルトガル語ではムスカテルとなり、これらの名前がついたブドウ品種は多数ある。いずれの名前がついても同一系統の品種であると言える。
ただし、似た名前のミュスカデはムロン・ド・ブルゴーニュ種から造られるフランスの白ワインの名称で、ミュスカとは別物である。
モスカートと呼ばれる場合は、通常イタリアで栽培されているモスカート系の品種を指す。
モスカートの味わい/香り
モスカート種の多くは3通りの醸造方法で甘口ワインにされる。
ひとつには通常のスティルワインにする方法で、マスカット独特の甘いアロマが強く、ライトボディでアルコール度の低いワインとなる。
次に発泡性のワインにする方法で、これはアステイ・スプマンテやモスカート・ダステイで採用されており、マスカットの香りをそのまま瓶に閉じ込めたようなワインとなる。
3つ目は干しブドウ状(パッシート)にしてから醸造する方法で、ワインは黄金色から琥珀色を帯び、芳香が強くアルコール度数も高いデザートワインになる。イタリア南部やシチリア島、サルデーニャ島などで多く造られ、モスカート・ディ・アレッサンドリア種を使ったシチリアのモスカート・ディ・パンテッレリアが広く知られる。
モスカートの主な産地
モスカート系の品種はイタリア全土で栽培されており、この品種から造られるワインの数はイタリアで最多である。系列品種は数多くあり、主なものは、白ブドウのモスカート・ビアンコである。ビアンコ種はイタリアの主要品種で、特に北部アステイ・スプマンテなどの甘口の発泡ワインの原料として名高い。モスカートと呼ばれるワインはイタリア全土に見られるが、このビアンコ種から造られているのが通常で、いずれにしてもバラのような甘い芳香の親しみやすいワインとなる。
モスカート系の品種はチリやカリフォルニアでもテーブルワイン用に多く栽培されている。スペインやポルトガルでは酒精強化ワインの原料とされる。南米やギリシャではブランデータイプの飲料が造られる。その他も地域を問わず世界中で栽培されている品種である。